ロバート秋山竜次の『笑ゥせぇるすまん』喪黒福造に期待しかない “芸人”役者としての矜持

ロバート秋山の演じる“喪黒福造”に期待

 完璧なまでにキャラクターに憑依する秋山が、俳優デビューするのに時間はかからなかった。2017年には、『黒い十人の秋山』(テレビ東京)で、『クリエイターズ・ファイル』の延長とも言える、1人10役のミステリードラマで単独主演。10人のキャラクターを演じ分け、本格派ミステリーと笑いを融合させた。2021年には、長瀬智也が主演、宮藤官九郎が脚本を担当した『俺の家の話』(2021年/TBS系)に、主人公の義弟にして自称ラッパー兼ラーメン店経営者のO・S・D役で出演。ユニークなキャラクターを気負いなく自然体で演じ、得意の笑いの要素もあって、強い印象を残した。

 そして、2024年にはついに大河ドラマに抜擢される。吉高由里子主演の『光る君へ』(NHK総合)にて、主要人物である藤原実資を演じることに。時代劇、しかも平安時代の人物にまさかの配役と思いきや、やはりクセのある役を演じ切っていた。曲がったことが嫌いで、すぐにキレてしまったり、天皇にも思わず進言してしまう実資だが、その真っ直ぐすぎるチャーミングさが愛らしく感じられたのは、秋山の演技あってのことだった。

秋山竜次、『光る君へ』で誰よりも“人間臭い”キャラに “ロバート実資”トレンド入りも納得

NHK大河ドラマ『光る君へ』で真面目に職務を遂行しつつ、前例のないことや道理に反する人には手厳しい反応を見せる藤原実資を演じてい…

 秋山自身、この役について、こう語っている。

「“これ別にお笑いにつながらないんだったらやらない”というスタンスだったので、面白い系の仕事じゃなければ“う~ん……いいかな”っていう感じだったんですけど、今回思い切って。せっかくお声掛けいただいたし。最初は“こんな真面目な感じになっちゃうのどうなんだ”って思いましたけど、心配しなくても真面目にやっていることがクスクスにつながっていましたね(笑)。だから全力でやりました。たどたどしいところはありましたが。関わらせてもらって良かったです」(※2)

 俳優をやっている時も、お笑い芸人であるという矜持を大切にしていることが分かる。

 そういう意味でも、ブラックコメディである『笑ゥせぇるすまん』の喪黒役はうってつけだ。悩みや不満を抱えた人に「心のスキマ、お埋めします」と近づき、夢のようなサービスや商品をおすすめしながら、結末はビターなことが多い。皮肉でちょっと怖いキャラを笑いに落とし込めるのは、今きっと、秋山しかいない。迫力のある「ドーーーン!!」を早く聞いてみたい。

参照
1. https://realsound.jp/tech/2022/01/post-938272.html
2. https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/12/15/kiji/20241215s00041000316000c.html

■放送情報
『笑ゥせぇるすまん』
Prime Videoにて、7月18日(金)0:00〜独占配信
出演:秋山竜次(ロバート)
原作:藤子不二雄Ⓐ『笑ゥせぇるすまん』
脚本:宮藤官九郎、マギー、細川徹、岩崎う大(かもめんたる)
監督:伊藤征章(FCC)、長部洋平、山本大輔、佐々木詳太
チーフプロデューサー:山鹿達也(テレビ東京)、伊藤征章(FCC)
プロデューサー:北川俊樹(テレビ東京)、鳥越一暢、大瀬花恵(FCC)
制作:テレビ東京、FCC
製作著作:ドラマ「笑ゥせぇるすまん」製作委員会
©藤子スタジオ/TV TOKYO
公式サイト:https://www.tv-tokyo.co.jp/warausalesman/
公式X(旧Twitter):https://x.com/waraumoguro_tx
公式Instagram:https://www.instagram.com/waraumoguro_tx/
公式TikTok: https://www.tiktok.com/@waraumoguro_tx

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