秋山竜次、『光る君へ』で誰よりも“人間臭い”キャラに “ロバート実資”トレンド入りも納得
NHK大河ドラマ『光る君へ』で真面目に職務を遂行しつつ、前例のないことや道理に反する人には手厳しい反応を見せる藤原実資を演じているロバートの秋山竜次。最近では、実資の登場シーンがあるとSNSで“ロバート実資”の独特の存在感やおかしみのある演技が話題になる。“ロバート実資”人気上昇の効果もあって、実資が書き残した日記『小右記(しょうゆうき)』も売れているようだ。
実資は、柄本佑演じる藤原道長より9歳年上で、90歳まで生きた。21歳の頃から60年以上も日記を書き続けた人だ。いくら自分の子孫が儀式で困らないように、少しでも出世の助けになるようにという気持ちがあったとしても、よほどの根気がなければ日記は続かないだろう。
博識なうえに礼儀を重んじ、権力におもねらず筋道を通す。頑固だけれど、信頼できる学識人として天皇や公卿から一目置かれた実資は日記に愚痴や嫉妬も書いている。
書くといえば、第29回「母として」で、ききょう(ファーストサマーウイカ)がまひろ(吉高由里子)の家を訪れ、定子(高畑充希)のために書いた『枕草子』を手渡した。興味深そうに読んだまひろは「ただ、私は皇后様の影の部分も知りたいと思います。人には光もあれば影もあります。人とはそういう生き物なのです。それが複雑であればあるほど魅力があるのです」と言った。
それに対してのききょうは「皇后様に影などはございません。あったとしても書く気はございません。華やかなお姿だけを人々の心に残したいのです」とキッパリ否定した。定子の苦しみを誰よりもそばで知りつつ、あえて光輝く定子の面影を残したいというききょうの強い意志があって出来たのが『枕草子』なので、ここはまひろが引き下がるしかない。
ただ、まひろの「人には光もあれば影もあります。人とはそういう生き物なのです。それが複雑であればあるほど魅力があるのです」という台詞は脚本家・大石静の描くキャラクターのおもしろさに通じるものがある。1人の人物の光と影の見せ方、その複雑さが物語そのものを大きく動かし、格別な魅力となっていく。