『続・BLドラマの主演になりました』が描く画期的な尊い世界 BLドラマ史上屈指の名場面も

『続・BLドラマ』が描く画期的な“尊い”世界

 前作から続編へとさらに尊い世界観が流動する本作だが、W主演俳優たちもまた水を得た魚のように自由闊達にそれぞれ独自の演技を極めている。7ORDERのボーカルとしても活躍してきた阿部顕嵐のキャリアは長く、高校1年生の時に『近キョリ恋愛〜Season Zero〜』(2014年/日本テレビ系)で初主演。映画『近キョリ恋愛』(2014年)の主人公・櫻井ハルカ(山下智久)の高校時代を演じる役柄が実年齢と符号しながら、真夏の強い日差しと木漏れ日を受けたロケーションの中、眩しそうな表情を浮かべてワンショットごと的確に視線を移動させていた。台詞がない場面でものびやかな視線移動で場面を持続させるこの演技力は、『BLドラマの主演になりました』のモノローグで応用され、モノローグ中のクローズアップを持続させながら、その後の会話場面で台詞を発する間合いを計算している。

 2014年に第27回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞、2025年がデビュー10周年である阿久津仁愛は、2016年に主役に抜擢されたミュージカル『テニスの王子様』など、きらめく2.5次元俳優として活躍がめざましい。2次元と3次元のあわいに固有の表現性がある2.5次元舞台から、BL漫画原作ドラマまでしなやかな身振りでアジャストできる才能はワンアンドオンリー。青柳として葛藤したり、赤藤がデートに誘う場面で夕陽に照らされながら涙目で熱い表情を浮かべるワンショットなど、あらゆる表情にキャラクターの心がたくましいほど豊かに込められる。“瞬間最高エモい”演技を繰り出せる表現者だ。2024年には初のソロライブ「阿久津仁愛 first LIVE 2024〜集え!〜」を開催するという側面も兼ね備え、どんな2次元キャラでも人懐こく実写化(アダプト)する稀有なスリーディメンション俳優である。

 持続的な阿部の演技と、阿久津の“瞬間最高エモい”演技が溶け合い、それがBLドラマ内BLというフレームの中でワンショットごと明確に打ち出されているから、より尊い世界観が構築される。

 『BLドラマの主演になりました』と『続・BLドラマの主演になりました』は、きらめく才能とそのポテンシャルを存分に際立たせる、愛すべき、尊いBL世界だと僕は思う。

■配信情報
『続・BLドラマの主演になりました』
TELASAにて、毎週金曜12:00~独占配信
出演:阿部顕嵐、阿久津仁愛、渡部秀、岩谷翔吾、金井美樹、古屋呂敏、押田岳、小西桜子、小越勇輝、入山法子
原作:すずり街 『BLドラマの主演になりました』(一迅社)
脚本:遠山絵梨香
監督:熊坂出
プロデューサー:藤崎絵三(テレビ朝日)、瀬島翔(スタジオブルー)
制作協力:スタジオブルー
制作著作: テレビ朝日
©すずり街/一迅社/テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/bl_drama/
公式X(旧Twitter):@bldrama2025_ex
公式Instagram:@bldrama2025_ex

 

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる