松本まりかの“怪演”を鈴木おさむ脚本が引き出す? 『奪い愛、真夏』が再び描き出す狂気

激しい愛憎と衝撃展開でドラマ界に一大旋風を巻き起こしてきた『奪い愛』シリーズが、7月スタートのテレビ朝日系金曜ナイトドラマ枠でついに復活する。新作『奪い愛、真夏』の主演を務めるのは松本まりか。これまでシリーズで数々の怪演を残してきた彼女が、満を持して初の主演に抜擢された。
脚本を手がけるのは、2024年に引退を発表した鈴木おさむ。本作が“最後の筆”となる可能性もあり、シリーズの集大成として大きな注目を集めている。
海野真夏(松本まりか)という女性の暴走と葛藤、そして“元恋人に瓜二つの男”との再会という王道かつ禁断のプロットは、2025年の夏の夜を確実に焦がしてくることは間違いない。なぜ今、「奪い愛」なのか。その根本的な魅力にあらためて迫りたい。
『奪い愛』シリーズの魅力を語る上で外せないのが、ドロキュンというジャンル性だ。激しく愛し、激しく裏切る。時に常軌を逸した行動で相手の心を奪い合う登場人物たちは、ドラマという枠を越えて、ある意味で感情のジェットコースターとして観る者を翻弄してきた。
象徴的なのが、『奪い愛、冬』で水野美紀がクローゼットから「ここにいるよ〜」と現れる名場面や、『奪い愛、高校教師』で松本まりかが電動車椅子で追跡しながら叫んだ「ホワーイ?」の一言。どれもSNSで爆発的に拡散され、今も語り草となっている。だが、そうした一種のホラー展開を、俳優たちが本気で演じ切ることこそが本作の魅力だ。
俳優たちの怪演を引き出す鈴木おさむ脚本
『奪い愛』シリーズの根幹にあるのは、やはり鈴木の脚本だ。感情の濃度、展開の早さ、キャラクターの強烈さ。そのすべてが、視聴者の予想を軽やかに裏切ってくる。中でも特徴的なのが、彼が描く女性キャラクターたちの造形だ。欲望に忠実で、誰にも止められない“激情型ヒロイン”たちは、物語に計り知れないエネルギーを与える存在として描かれてきた。鈴木が「自信を取り戻した作品」と語る『奪い愛、冬』を起点に、シリーズは“夜の昼ドラ”として独自のポジションを確立してきた。そして、自ら筆を置いたはずの彼が本作のために一度だけ脚本業に復帰するという事実は、それ自体がこのドラマの異例さを物語っている。「これまで以上に濃く、激しく、感情が交錯する展開になる」と宣言される今作は、文字通りの集大成であり、最後のメッセージとなるかもしれない(※)。




















