芳根京子の演技はなぜ“本物”なのか? 『めおと日和』なつ美の“二面性”に惹かれる理由

また、コロコロと変わる表情変化だけでなく、なつ美の強さも表情でしっかりとみせているのも魅力の一つ。第5話で描かれた郁子(和久井映見)から「明日、有事があってもおかしくない」と言われ、軍人の妻としての自覚を新たにするシーン。原作でも大きなコマを割いて描かれている印象的な場面だが、芳根も背筋を伸ばしてスッと前を向く表情のみでなつ美のなかに生まれた強固な決意を表現していた。

目の前に起きる事象や瀧昌の言動に新鮮に喜び、照れ、寂しさから涙する時も、見せ場となる部分で普段と異なるような表情を見せる時も、何かに合わせるのではなく芳根の中から自然に生まれた反応だけで表されている。芳根の内面を通して二面性が表現されているからこそ、なつ美という人間がより立体的に浮かび上がり、わざとらしさのない生身の人間として魅力的に映るのだ。

28歳にして、朝ドラヒロイン、民放3局でのGP帯ドラマの主演、日本アカデミー賞新人俳優賞受賞と着実にキャリアを積み重ね、信頼できる演技派女優の一人である芳根。何を演じても“本物”になるのは、彼女の大きな強みだ。11月には2021年の『Arc アーク』以来の主演映画『君の顔では泣けない』が公開予定。男性の心を持ちながら、15年間女性として生きることになる特異な役柄も、確かな演技力で命を吹き込み、観る者に真実味をもって届けてくれることだろう。
芳根の盤石な演技力が改めて評価されたことは、俳優としてさらなるステップに進むことへの後押しになるはず。パブリックイメージから外れるような意外性のある役柄も見てみたいが、なつ美のようなピュア感満載の王道ヒロインも何度も演じてほしいものだ。
西香はちによる同名コミックを原作としたハートフル・昭和新婚ラブコメ。昭和11年を舞台に交際ゼロ日婚からスタートする、歯がゆくも愛らしい“新婚夫婦の甘酸っぱい時間”を丁寧に描く。
■放送情報
『波うららかに、めおと日和』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:芳根京子、本田響矢、山本舞香、小関裕太、小宮璃央、咲妃みゆ、小川彩(乃木坂46)、戸塚純貴、森カンナ、高橋努、紺野まひる、生瀬勝久、和久井映見ほか
原作:西香はち『波うららかに、めおと日和』(講談社『コミックDAYS』連載)
脚本:泉澤陽子
音楽:植田能平
主題歌:BE:FIRST「夢中」
プロデュース:宋ハナ
演出:平野眞
制作協力:FILM
制作著作:フジテレビ
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