丸山隆平、“相当な覚悟”で受けた8年ぶり主演映画で得た気づき 「距離感と思いやりが大事」

「“踏み込まなくていい”距離感もあると思う」
ーー丸山さん自身は完成した映画を観てどんな感想を持ちましたか?
丸山:とにかく情報量が多い。今は映画を倍速で観たりする方もいると思うんですけど、それだとたぶん追いつかないやろなって。だから、速度を変えられない映画館で観るのがいいなと思うんです。お芝居や物語以外のところも、細部まで丁寧で厚みのあるものになっているんですよね。最後まで、メッセージや思いが詰まっていると思いました。今だからっていうメッセージも強くある。暗いだけじゃなくて、何を大事にするべきか。希望みたいなものもありながら、いろんな側面で考えられる映画になっていると思います。
ーー作品に熱量がありましたね。
丸山:熱量、そうですね。余韻もあって考えさせられる。やっぱり映画の魅力って“余白”ですよね。分かりやすい作品もそれはそれでめちゃくちゃいいんですけど、「さあ君はどうするんだい?」みたいなほうが、僕の好きな先輩方、先人たちが作ってきた“映画”なんですよね。そういう余韻や余白のある映画だなって。「ああ、いい作品に参加させてもらったぜ、イェーイ!」みたいな(笑)。
ーー(笑)。公開が発表されたタイミングで「自分自身がこれまで歩んできた人生を見つめ直すという貴重な作品にもなりました」とコメントされていましたが、丸山さんがこの映画を通して見つけた大事なものがあれば教えてください。
丸山:家族や会社もそうですし、特にグループは家族以上に一緒にいるので。あと改めて思ったのは、たとえ肉親であれ、家族のように一緒にいる人間であれ、距離感と思いやりが大事なんだな、ということですね。自分が傷つかないための距離感っていうのももちろん社会としては大事だと思うし。“踏み込まなくていい”距離感もあると思うんです。相手を大事にするからこその思いやりを持った距離感が大事なのかなって。
ーーなるほど。
丸山:『新世紀エヴァンゲリオン』の影響で知ったんですけど、哲学者アルトゥール·ショーペンハウアーの「ヤマアラシのジレンマ」っていう言葉が好きで。ヤマアラシって、寒いところにいるから身を寄せ合わなきゃいけないけど、寄せすぎるとお互いを傷つけちゃうんですよね。「ショーペンハウアーよう言うた!」みたいな感じなんですけど(笑)。そういうことを改めて感じました。「金子家」っていう中でもそうだし、「ご近所」もそう。あと、金子差入店の人間としては、クライアントとの距離感についても、思いやりがある距離感なのか、職業としての距離感なのかで、全然違うんですよね。人との関係性と距離感と思いやりみたいなところは、生きている人間としては、国籍も関係なく同じなんじゃないかなと改めて感じました。家族だからこそ話せないことってあるじゃないですか。でも話さなきゃいけないこと、逃げていたこともある。そういうことに対して、逃げちゃいけないなって改めて身につまされる部分もあって。この作品が仕上がったあと、家族にちょっと行動を起こしてみたりはしました。具体的に言うと結構グロテスクなので言いませんけど(笑)。
ーーありがとうございます。最後に映画をご覧になる方にメッセージをお願いします。
丸山:僕を知ってくださってる方は、今までとちょっと違うようなテイストの作品に奮闘しているようにも見えると思います。あと、この作品自体に興味持ってくださる方は、それぞれ受け取り方や感じ方が違うと思うので、ほんとに一人ひとりどういうふうに感じたのかを聞いてまわりたいぐらいです。この作品を通して、ちょっとしたことですけど舵を切ってみたり、自分の人生の中にも影響はあったので、みなさんがどんなふうにこの作品を持ち帰るのか、どういうふうにこの作品が届くのか、とても楽しみです。配信の世の中ではありますけれども、お時間が許すのであれば、劇場に行って豊かな時間を過ごして、何か希望を持って帰っていただければなと思います。あとサスペンスとしても楽しめるから、気軽な気持ちで劇場に来ちゃえば? ムビチケも買っちゃえば? ファンの方は記念に!
■公開情報
『金子差入店』
TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中
出演:丸山隆平、真木よう子、三浦綺羅、川口真奈、北村匠海、村川絵梨、甲本雅裕、根岸季衣、岸谷五朗、名取裕子、寺尾聰
監督・脚本:古川豪
主題歌:SUPER BEAVER「まなざし」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作プロダクション:KADOKAWA
製作:「金子差入店」製作委員会
配給:ショウゲート
©2025 「金子差入店」製作委員会
公式サイト:kanekosashiireten.jp
公式X(旧Twitter)@kaneko_movie

























