『あんぱん』では原菜乃華が歌声を披露 上白石萌歌、高畑充希ら朝ドラの“歌うヒロイン”

5月8日放送の第29話では、祖父の弟子である豪(細田佳央太)の壮行会にて、のぶ(今田美桜)、蘭子(河合優実)、メイコの三姉妹がよさこい節を歌うシーンが描かれた。幼い頃から歌が好きだったことがうかがえるメイコが、姉たちとともに地元の唄を披露する姿は、どこか懐かしく、そして家族の絆を感じさせる温かな場面となった。

続く5月13日放送の第32話では、いよいよメイコがソロで歌声を披露するシーンがやってくる。アンパンを売り歩きながら、軽やかに鼻歌を交えて歌うメイコ。陽気で人懐っこい彼女のキャラクターと、その歌声がぴたりと重なる瞬間だった。さらにギターを奏でる健太郎(高橋文哉)の伴奏に合わせて、メイコが「椰子の実」を歌い出すシーンでは、穏やかな波音と共鳴するような、透明感のある原の歌声がやさしく響き渡った。

原の歌声が真に魅力的なのは“にじみ出る素直さ”にある。『あんぱん』のメイコというキャラクターを通じて、彼女は歌うことが特別ではない世界の中で、“歌うことのかけがえなさ”を表現してみせた。その力強さとやさしさが共存する歌声は、今後の物語の中でもきっと何度も、誰かの心をそっと揺らしていくだろう。
登場人物が劇中で歌うという演出は、単なる演技の一部ではない。そこには、物語のエモーションが凝縮されている。言葉にならない気持ち。誰にも届かないと思っていた声。それらが旋律にのって視聴者に届いたとき、朝ドラというフォーマットは、ただのテレビドラマを超えた“体験”になる。
『エール』のように音楽がテーマの作品であってもなくても、印象的な歌唱シーンは確実に視聴者の記憶に残る。『虎に翼』のような社会派作品ですら、挿入歌の選曲と配置は極めて戦略的であり、ヒロインの心情を強く補完していた。
だからこそ、『あんぱん』における原菜乃華の歌唱が、今後の物語のどこで、どのように響くのかが問われている。ヒロインが歌うという選択は、キャラクターに深みを与えるだけでなく、作品そのもののトーンを左右する。歌声がもたらす“リアル”が、私たちの心に届く日を待ちたい。
■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、二宮和也、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK






















