『あんぱん』蘭子×豪の関係が切なすぎる 屋村には戦争体験の過去がある?

『あんぱん』蘭子×豪の関係が切なすぎる

 豪(細田佳央太)の元に届いた召集令状をきっかけに蘭子(河合優実)の想いが揺れる『あんぱん』(NHK総合)第28話。屋村草吉(阿部サダヲ)の過去についても示唆される描写があった。

 アバンなしで始まった冒頭シーンは、御免与町ではなく銀座が舞台。“いつもの”オープニングから始まる構成が、銀座の“新しい世界”を際立たせる。戦争の足音をひしひしと感じている御免与町の状況とは異なり、東京で学生生活を送る嵩(北村匠海)と健太郎(高橋文哉)は、自由を謳歌している。嵩は、合格発表以来の美村屋へ。合格発表の際に訪れたときは気づかなかった嵩だが、今回はパン職人たちの集合写真のなかに若き屋村の姿を見つける。嵩は、健太郎に自身の生い立ち、のぶ(今田美桜)と屋村の存在の大きさを語る。自由で何にも囚われない屋村の存在は、嵩に大きな影響を与えていたのだろう。

 その屋村が、次は豪に肩を貸そうとしていた。長年、屋根裏部屋で共に暮らしていた二人。マナーとして、豪への召集令状を喜んだ朝田家の面々とは異なり、屋村は豪を軍に行かせないためにあれこれと方法を提案。ただ、豪はその提案を受け入れられるわけがない。

 戦前戦後にまたがる朝ドラではよくある描写だが、出征を喜ばなければならない、しかし喜べるわけがないという葛藤は、何度見ても苦しい。メイコ(原菜乃華)は、豪がいなくなることが純粋に寂しいと口にできるものの、誰よりも豪を想っている蘭子はそれを嗜めることしかできない。その言葉をどこか諦めたような表情で見つめる豪。そのやりとりを心配そうに見つめるのぶと羽多子(江口のりこ)。言葉とは裏腹な感情がたっぷりと詰まった朝食のシーンを牽引する、河合と細田の若手俳優らしからぬ頼もしさを実感した。

 屋村は、仕事に集中しようとする豪を誘い釣りへ出かける。屋村は再び、軍に行かせないための方法を提案。しかし、豪からしたら冗談としか受け取れない。屋村も冗談にしかできないことを分かっている。屋村は、これまでにないほど真剣な顔で「勇ましく戦おうとするな、逃げて逃げて逃げ回るんだ」と口にする。戦争なんて良い奴から死んでいく。戦地を見てきたかのような口ぶりだが、豪からの「やむさんは戦争に行ったことがあるがですか?」という問いには答えない。

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