『あんぱん』蘭子×豪の関係が切なすぎる 屋村には戦争体験の過去がある?

忠君愛国の精神で、戦争の意義を信じて戦った人ほど、先に死んでいく。お国のために死ぬことが美徳とされていた時代。そんなことが信じられていた時代であっても、屋村は戦地で気のいい仲間が死んでいくのが許せなかったのだろう。屋村が常に見せてきた自由さと破天荒さの裏には、戦争で見たもの、制限されたものへの憤りがあったのかもしれない。
屋村が豪に向かって言った「会っときたい女」という言葉は、ある程度の核心を持ったものだったのかもしれない。屋村の自由さに後押しされ、豪も「毎日会ってます」と静かに暴露。これまで豪から蘭子への想いは明確に表現されてこなかったため、思わず「やった!」と言いそうになった。水面に照らされる豪のソワソワとした表情、戸惑いに揺れるまつげなど、そんな繊細な表現から豪から蘭子への思いの大きさを感じた。豪の本音に喜んだ屋村が、蘭子以外を例に挙げていくのもなんとも可愛らしい。

その頃、朝田家の女性陣は蘭子に何ができるのか会議を開催していた。蘭子の帰りをのぶ、メイコで迎えたところに、屋村と豪も帰宅。小さすぎる魚一尾のみの釣果を笑いあうのぶとメイコ、屋村。爆笑の裏で、蘭子のほころぶような笑みに目を惹かれる豪。ちょっとでも笑ってくれれば、それでいい。毎日顔を合わせられることが幸せだと互いが言いあっているような切なくも愛おしいシーンだった。
このやりとりは蘭子に小さな変化をもたらしたようだ。蘭子は、夜中に布団を抜け出して羽多子の元へ。共に起きてきたのぶとメイコも揃い、羽多子は結太郎(加瀬亮)との馴れ初めを三姉妹へ語る。羽多子への手紙を書く結太郎の回想シーンが挿入されたが、これは手紙から想像する結太郎の姿なのだろう。手紙はその場にいない人の想いを、いつ何時も届けてくれるものだ。結太郎の手紙の内容からは、どんなに離れた場所にいようと羽多子を心から想っていたことが伝わってくる。そんな手紙に共感を見せる蘭子に、羽多子は無理に行動を促そうとしない。それが、悩みながら見つけ出した羽多子の母親としてのスタンスなのだろう。
家柄と時代に翻弄され続けた蘭子と豪の恋心。戦火が近づく辛い展開だからこそ、思いが通じ合える場面だけでも見たいものだが、果たして。
■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、二宮和也、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK






















