釘宮理恵はなぜ“ツンデレ美少女”役にハマる? 『黒執事』サリヴァン役で発揮する真骨頂

釘宮理恵はなぜ“ツンデレ美少女”にハマる?

 原作ファンにとっては「ついに来たか」と胸が高鳴る、待望の章の幕が開けた。シリーズの中でも屈指の人気を誇る『黒執事 -緑の魔女編-』(以下、緑の魔女編)は、鬱蒼とした森に潜む“人狼(ヴェアヴォルフ)”をめぐる重厚なミステリーを軸に、どこか妖しくも品のある空気感が凝縮された異色の一篇。アニメーションとしてはややショッキングな描写も含むが、耽美と陰鬱が共存する『黒執事』シリーズならではの世界観を濃密に体現しているエピソードのひとつといえる。

 『黒執事』といえば、セバスチャンとシエルの主従コンビが物語の核だ。しかし、各章に登場する個性豊かなキャラクターたち、そして彼らに命を吹き込む声優陣の存在もまた、シリーズを語る上で欠かすことができない。「寄宿学校編」では、渡部俊樹、榎木淳弥、武内駿輔、橘龍丸が演じたP4たちが強烈な存在感を放ち、「豪華客船編」では鈴木達央が演じるドルイット子爵の怪演が場をかき乱した。「サーカス編」におけるジョーカー役・宮野真守の熱演もまた、物語の余韻とともに視聴者の記憶に深く刻まれているはずだ。

アニメ『黒執事 -緑の魔女編-』本PV|2025年4月5日(土)より各局にて放送開始!

 そして、そうしたシリーズの積み重ねを経て迎えるのが、「緑の魔女編」だ。この章で中心に据えられるジークリンデ・サリヴァンは、人里離れた狼の谷に暮らし、村人たちからは“魔女”と恐れられている少女。若くして領主という立場にありながら、その佇まいは毅然としていて落ち着きがある。

 一方で、年相応の無邪気さや旺盛な好奇心もあわせ持ったサリヴァンは、村の男性が執事のヴォルフラム一人しかいないという環境からか、ときおり異性への関心をストレートすぎるほどに示すこともある。こうした、ふとしたところで垣間見えるズレや素直さが、サリヴァンの愛らしさでもある。だからこそ、多くの原作ファンにとってアニメ化における最大の関心事は、サリヴァンのキャスティングだったのではないだろうか。

 そして、このサリヴァンに釘宮理恵の声が重なったときの“しっくり感”は、言わずもがな。『ゼロの使い魔』のルイズ、『とらドラ!』の大河、『灼眼のシャナ』のシャナ——ツンデレ美少女の代名詞ともいえるキャラクターたちを演じてきた釘宮が、本作でもその実力を遺憾なく発揮している。もはや釘宮に「気丈で繊細な不器用な少女」を演じさせたら右に出る者はいない。本作ではサリヴァンの抱える外の世界への淡い憧れを、時に愛らしく、時にまっすぐに心に届く声で丁寧に描き出している。

 凛とした口調の奥に隠れた、年相応の脆さ。その絶妙なさじ加減に、思わず“ニヤリ”としてしまう場面も多く、中でも釘宮の代表作の一つである『ハヤテのごとく!』のナギが好きな人ならきっとハマるに違いない。

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