中井貴一の人間味がスパイスに 『最後から二番目の恋』“実年齢”を生きるキャストの魅力

『最後から二番目の恋』中井貴一がスパイスに

 家庭内でも友達付き合いでも、千明や典子(飯島直子)をはじめとした個性が豊かすぎるキャラクターたちの自由な言動に対して、和平はツッコミ役。むしろ、和平の相槌やツッコミが、会話のテンポを作り出していると言っても過言ではない。興味深いのは、和平自身はただ真面目に会話に向き合っている雰囲気を出している点。真面目な和平が周りに振り回されている様子が、ドラマ全体のコミカルさを強調している。演じている中井本人が楽しそうである点も良い。繰り広げられる会話の中で、中井がとにかく何かしら言いたくなってむずむずしているのが画面越しに伝わってくる。

 本作は、主要キャストが扮する人物の年齢設定と俳優の実年齢が同じである。たとえば、和平は今年で63歳になる設定だが中井も実際に63歳。それを知り、まさにこれが“等身大の演技”なのだと納得してしまった。和平をはじめ、その友人たちや長倉家の面々も“演じている”というより“自然体のまま楽しんでいる”ような雰囲気だ。この空気感を成立させているのが、中井を筆頭に、映画やドラマの世界で長らく活躍してきた俳優陣の力なのだろう。

 千明は、部署のメンバーを巻き込んで新しいドラマの企画を考える場面で、「つまらないことこそ愛おしいんだよ。私はそういうドラマを作りたいと思っています」と語った。『続・続・最後から二番目の恋』には、まさにそのつまらないようで、実は刺激的でおもしろく、愛おしい日常が詰まっている。だからこんなにも続きが気になってしまうのだ。

『続・続・最後から二番目の恋』の画像

続・続・最後から二番目の恋

鎌倉を舞台に、テレビ局プロデューサーの主人公と、市役所で働く公務員の恋を描いたロマンチック&ホームコメディ。2012年1月に第1期の連続ドラマ、同年11月にスペシャル版、2014年に第2期が放送され、本作はその続編となる。

■放送情報
『続・続・最後から二番目の恋』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:小泉今日子、中井貴一、坂口憲二、内田有紀、飯島直子、久保田磨希、松尾諭、佐津川愛美、白本彩奈、広山詞葉、美保純、柴田理恵、浅野和之、渡辺真起子、森口博子、石田ひかり、三浦友和ほか
脚本:岡田惠和
プロデュース:若松央樹(フジテレビ)、浅野澄美、郷田悠(FCC)
演出:楢木野礼、高橋由妃、西岡和宏(フジテレビ)
音楽:平沢敦士
主題歌:浜崎あゆみ「mimosa」(avex trax)
制作協力:FCC
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/nibanmeno_koi/
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