『スター・ウォーズ』はなぜこんなに愛されているのか 人々を熱狂させる“3つの理由”

最新技術を投入した未知の映像体験と音響演出
『スター・ウォーズ』は常に視覚的、音響的に人々を驚かせてきたシリーズだ。1977年当時としては画期的なVFXを生み出し、誰も見たことのない宇宙空間を創出することに成功した。また、音響効果やサウンドデザインの面でも映画を進歩させた作品として知られている。
神話的構造で馴染みある物語を、これまで誰も見たことのない映像世界で展開したのが、本作の肝だ。普遍的な物語であると同時に、斬新な映像であることが世界中の人を新鮮な体験として感じさせた重要なポイントである。

そして、音響についても大きなチャレンジをしている。ドキュメンタリー映画『ようこそ映画音響の世界で』(2019年)にて、ジョージ・ルーカスは映画の半分は音であると語っているが、五感のうち、最も感覚的な聴覚によって本作は人を魅了するものでもあった。
本作はSF映画であるが、音はリアルな音を採集しているのが特徴だ。安易にシンセサイザーなどの電子音ではなく自然音を使うことで、空想世界にリアリティを与え、ジョン・ウィリアムズの名曲の数々をドルビーステレオで聞かせるという試みに挑んでいる。ドルビー・ステレオを最初に導入したのはバーブラ・ストライサンド製作・主演の『スター誕生』(1976年)だが、世界にその威力を知らしめたのは『新たなる希望』だったと言えるだろう。
その後のシリーズ『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年)ではデジタル技術をふんだんに取り入れ、さらに未知なる映像体験を創出しようと試み続けている。近年では、CG技術のコモディティ化で、技術によって観客を驚かせるという要素は減ってきているが、普遍的で馴染みある物語を革新的な映像で見せるという組み合わせが、このシリーズの人気を牽引してきたことは間違いない。
キャラクターと世界観の“無限拡張性”
本作の世界観は、単なる空想とは思えないほどの広がりがある。それはまるでもう1つの現実のように感じられる。今日、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のように1つの作品で完結せずに、どこまでも世界が拡張されてゆく物語構造は珍しくないが、『スター・ウォーズ』はその原点と言える。1作目の時点でこの世界はかなり広そうだと思える要素が満載だ。フォースの力とはなんなのか、帝国軍と反乱軍の戦いの構図、様々な異形の生物たちの存在、その生態系や暮らしぶりなどがディテールとして示され、それらの要素が観客の想像力を刺激してくる。

今日も新作が制作され続けているのは、『スター・ウォーズ』世界が掘り切ろうと思っても掘りつくせない、深さと広さを持っている「無限拡張性」のおかげだ。『スター・ウォーズ』の世界について考え始めると、人はこの世界の住人になったかのような気分で、自らも新たな物語を夢想してしまう。それが新たな物語を生む原動力になり、また別の誰かを熱狂させる。そのようにして拡大してきたのがこのシリーズだ。
また、魅力的なキャラクターたちの過去の因縁などの関係性がその世界の中で描かれる。世界に説得力があるから、キャラクターの存在感にも生々しさを感じさせるのだ。
ファンダムとメディア・フランチャイズの草分け
また『スター・ウォーズ』の楽しみ方は、映像を観るだけに終わらなかったことも大きい。グッズを購入し、手元に置いておける楽しみ、「スター・ウォーズ セレブレーション」のようなイベントに参加し、世界中のファンと想いを共有できるなど、映画を所有する楽しみや、共有する楽しみをいち早く生み出したシリーズとも言える。映画から飛び出して、楽しみを提供してきたことも、本シリーズが熱狂を維持し続けている大きな要因となっているだろう。
そういう意味では、作り手だけでなく、ファンの力によって『スター・ウォーズ』は単なる作品を超えた文化現象になったと言えるだろう。「スター・ウォーズ・セレブレーション」のような場で、世界中のファンと愛を語り合えるという喜びが得られるのも、本シリーズの醍醐味になっているのだ。
「スター・ウォーズ セレブレーション」次回は2027年4月にアメリカ・ロサンゼルスで開催
『スター・ウォーズ』の祭典「スター・ウォーズ セレブレーション ロサンゼルス2027」が、2027年4月1日から4日にかけてアメ…参照
https://www.oricon.co.jp/news/2380692/full/
■放送情報
『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』
日本テレビ系にて、4月25日(金)21:00~22:54放送
声の出演:マーク・ハミル(島田敏)、ハリソン・フォード(磯部勉)、キャリー・フィッシャー(高島雅羅)、アレック・ギネス(納谷悟朗)、デヴィッド・プラウズ(大平透)、アンソニー・ダニエルズ(野沢那智)
監督・脚本:ジョージ・ルーカス
製作:ゲイリー・カーツ
音楽:ジョン・ウィリアムズ
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