『しあわせは食べて寝て待て』が肯定する“前向きな後ろ向き” “涼子様×よね”の嬉しい再会も

『しあわせは食べて寝て待て』が肯定するもの

 コロナ禍による景気悪化を背景とした収入減少や将来不安、テレワークの導入で時間に余裕が生まれたことなどから、副業を始める人が増加している。しかし、一定の収入を得ようと思ったら、何かしらのスキルや経験が必要。否応なしに自分の力と向き合わされ、落ち込む人も多いのではないだろうか。でも、まぁいっか。そう思えたら、それもまた一つの立派な能力なのかもしれない。

桜井ユキがなぜ画期的な主人公なのか 『しあわせは食べて寝て待て』の真摯な病気の描き方

スタート以来、良作を生み出し続けているNHK夜22時からのドラマ放送枠、「ドラマ10」。何度かの改編を経て2010年より掲げてい…

 『しあわせは食べて寝て待て』(NHK総合)第4話では、さとこ(桜井ユキ)のアドバイスで借り手がついた団地の空き部屋に新たな住民・高麗(土居志央梨)が越してくる。大家の鈴(加賀まりこ)が結んでくれた縁で、早々に知り合った2人。NHK連続テレビ小説『虎に翼』(2024年度前期)の涼子様(桜井ユキ)とよねさん(土居志央梨)の会合に思わず嬉しくなった。

 同時に、今回はどちらも全く違う役柄に扮しており、改めてその引き出しの多さに驚かされる。役の距離感も以前とは違っているけれど、2人のやりとりにはお互いへの信頼感が伺えて、さとこと高麗もこれから仲良くなれそうな予兆を感じた。

 フリーでイラストレーターの仕事をしている高麗は、得意な裁縫でネットに出品している鈴とコラボすることに。そのことをきっかけに、さとこは少しでも家計の足しになればと副業を探し始める。ところが、自分にできそうなことが見つからず、落ち込むさとこ。そんな中、“ネガティブ・ケイパビリティ”という考え方を教えてくれたのが、パート先のデザイン事務所に出入りする編集者の青葉(田畑智子)だ。

 “ネガティブ・ケイパビリティ”とは、イギリスの詩人ジョン・キーツが提唱した「容易に答えの出ない事態に耐えうる能力」のこと。どう頑張っても、うっかりミスの多さを克服できない青葉はこの考えに救われていた。コスパやタイパが重視される現代社会では、ついすぐに答えや解決策を求めがちだ。どうにもできないことを無理やりどうにかしようとして、事態をより悪化させてしまうことも。その焦燥感を手放し、どうにもならないことは放っておく。できないことはできない。そう認めた瞬間に、何かが見つかることもあるのかもしれない。

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