桜井ユキから幸せのおすそ分け 『しあわせは食べて寝て待て』が示す人生100年時代の生き方

NHKドラマが示す人生100年時代の生き方

「よく『果報は寝て待て』って言うでしょ。だから、運が巡ってくる時のために、少しでも元気になっていないとね」

 テクノロジーの発展でどんどん便利になっていく世の中は私たちに万能感を与え、何でもコントロールできると思わせてくる。でも、実際は思い通りにならないことばかり。幸せもまたその一つであり、必死にたぐり寄せても上手くいかないことが多い。

 そういう時はしっかり食べて寝て、体調を万全に整えた上で気長に幸福の訪れを待つ。そんな人生も悪くはないと、90歳で夢が叶った鈴(加賀まりこ)の台詞はそう思わせてくれた。『しあわせは食べて寝て待て』(NHK総合)第2話では、薬膳がさとこ(桜井ユキ)の曇り時々雨の人生に晴れ間をもたらす。

 膠原病を患ったことをきっかけに生活が一変し、築45年・家賃5万円の団地に引っ越したさとこ。薬膳に詳しい大家の息子(仮)の司(宮沢氷魚)に食生活のアドバイスを求めるが、「病人には責任が持てない」とあっさり断られてしまう。身体に不調が現れるほど落ち込むさとこだが、元来真面目で凝り性なのだろう。本で得た知識を基に、前のめりで薬膳を生活に取り入れていく。

 薬膳は病気になってから遠ざかっていた人との繋がりをさとこに取り戻させてくれた。新玉ねぎやセロリ、ミツバなど、冬に溜まった老廃物を排出してくれる春野菜をふんだんに使ったお弁当を会社に持参したさとこ。それに興味を持ってくれた同僚に思い切って持病のことを明かしてみると、思わぬ反応が返ってくる。

 これまでさとこは前職での経験から相手に変に気を遣わせてしまうと思い、病気のことを黙っていた。けれど、薬膳の話が良い緩和材になって、意外にも今の同僚たちには無理なく受け入れられる。取引先の青葉(田畑智子)とは気の巡りを良くしてくれる陳皮入りのジャスミンティーで話が弾み、スーパーで偶然出会っただけの女性(北乃きい)とも夏バテ防止に役立つ梅を通じて言葉を交わす。薬膳に出会う前よりも明らかに笑顔が増えたさとこに、幸せのおすそ分けをしてもらったような気分になった。

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