『侍タイムスリッパー』『トワイライト・ウォリアーズ』 ブームを牽引する“ファンダム”の存在

『侍タイムスリッパー』ではキャラクターのアクスタが公式販売されているし、『トワイライト・ウォリアーズ』もアクリルキーホルダーやステッカーなどのグッズが販売されている。特に後者に関しては配給元のクロックワークスから3月19日にガイドラインが発表され、「グッズ制作・販売について」や「創作活動」のルールが明示された。こういったことは実写映画の中でも極めて珍しい。つまり、それほどまでに本作のグッズ需要が高まっているのだ。

実写映画として同じようにグッズ需要でヒットの盛り上がりを実感したのは、インド映画『RRR』。本作もやはり2人の主人公の関係性が熱い作品で、ポップアップが開催されアクスタやTシャツなど幅広いグッズが売られていた。もちろん、俳優のファンになる観客も続出。こういったファンダムの存在は、やはり“推し活”という言葉が広まる前に比べて随分可視化されやすくなったように思える。
可視化といえばファンアートで、これらはSNSでもバズりやすく、初心者が興味を持ちやすくなると同時にファン同士が共感し合ってお互いに作品やキャラクターの解像度をあげてさらに沼る手伝いにもなる。そういった投稿も口コミの部類かもしれないが、単なる映画の感想以上に作品の魅力を発信し、映画の認知度向上に貢献していると感じる。そういった点をふまえると、ある意味『鬼滅の刃』や『名探偵コナン』、『忍たま乱太郎』などの人気アニメ作品の劇場版と似たヒットの仕方をしているのかもしれない。

昨今、映画館離れや映画の衰退が謳われている中で、劇場や映画会社、製作側が少しでも稼げる方法を見つけられるのなら、ファンの需要を見抜いてすぐにアクションを取ることは非常に重要だと思う。もちろん、はなからそういうヒットの仕方を狙って映画を作ることもできるのかもしれない。が、そういう打算的に作られすぎたものに対し、ファンは同じように熱くなるのかわからない。一方でアニメ映画と違い、実写という“なまもの”であるからこそ、ファンダムも気をつけなければいけないことは多い。
それでも、やはりファンダムが今後の映画界においてどのように機能していくかは重要な要素であり、こういったヒットの現象は今後も伸びていくような気がしてならないのだ。一体次はどの作品が同じような形で劇場を賑わせるのか、注目していきたい。
参照
※ https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241011/k10014606061000.html
■公開情報
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』
全国公開中
出演:ルイス・クー、サモ・ハン、リッチー・レン、レイモンド・ラム、フィリップ・ン
監督:ソイ・チェン
監督:谷垣健治
音楽:川井憲次
配給:クロックワークス
2024年/香港/125分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題:九龍城寨之圍城/PG12
©2024 Media Asia Film Production Limited Entertaining Power Co. Limited One Cool Film Production Limited Lian Ray Pictures Co., Ltd All Rights Reserved.
公式サイト:https://klockworx.com/movies/twilightwarriors/
公式X(旧Twitter):@totwjp





















