『あんぱん』北村匠海の“恋の病”が愛らしい 今田美桜の負けん気ヒロインにドキドキ

「2人とも今からしっかり考えちょけ。何のために生まれて、何をしながら生きるがか。何がおまんらの幸せで、何をして喜ぶがか」
TVアニメ『それいけ!アンパンマン』の主題歌「アンパンマンのマーチ」に出てくる有名なフレーズが、寛(竹野内豊)の口から飛び出したNHK連続テレビ小説『あんぱん』第11話。主人公2人の目の前には、大きな人生の決断が迫っていた。

性格も育ちも正反対なのぶ(永瀬ゆずな)と嵩(木村優来)が互いの存在と温かくて美味しいあんぱんに支えられながら、ともに親をなくした悲しみを乗り越えていく姿が描かれた幼少期パートが終わり、この第3週から本役の今田美桜と北村匠海が本格登場となる。
まず何よりも印象的だったのは、今田のヒロイン然とした存在感だ。観ているだけで自然と笑顔にさせられ、華があるとはこういうことかと思わされる。一方、北村は控えめな印象ながら、その中にピュアな煌めきが見えた。

昭和10年。朝田石材店に朝田パンが併設されてから8年が経ち、釜次(吉田鋼太郎)と、ヤムおじさんこと草吉(阿部サダヲ)が相も変わらず小競り合いながら、細々と商いを続けていた。
のぶと嵩はそれぞれの学校で最終学年を迎える。同級生たちが続々と卒業後の進路を決める中、2人はまだどうするべきか迷っていた。
とはいえ、現代ほど自由に将来を選べるわけではなく、この時代はほぼ生き方が決められていたと言っても過言ではない。女性は女学校を卒業したら結婚するのが通例で、学生のうちから「心身ともに健康で、立派な男を産み育てる日本婦人」に育てられる。かたや男性に求められるのは、家族を守っていける経済力と逞しさ。生まれによっても人生が決まり、嵩の弟・千尋(中沢元紀)は母・千代子(戸田菜穂)から、医者になり柳井診療所を継ぐことを望まれていた。千代子は嵩にも受験し、“立派な男”になってくれることを願っているようだ。
そんなふうに敷かれたレールの上を進んでいくことに、のぶと嵩が躊躇いを感じるのはそれぞれの父の影響もあるだろう。亡き父・結太郎(加瀬亮)から「女子も大志を抱け」と教わったのぶは、結婚相手探しに奔走するクラスメイトを尻目に、自分の夢を見つけようとしている。




















