『悪縁』『イカゲーム』『狩りの時間』 狂気と底知れなさを放つパク・ヘスの意外な魅力 

『悪縁』パク・ヘスが放つ狂気と意外な魅力

 一方、悪を成敗する側として、頭の切れの良さが前面に出されている作品として映画『不夜城の男』がある。パク・ヘス演じるクラブやバーを経営するチャヌは、やっとの思いで成り上がってきたのも束の間、自分の店にやってきた薬漬けの芸能人を警察に告げたのをきっかけに、その連鎖が裏社会や政治界の大物にまで繋がってしまい絶体絶命に陥る。しかし絶対に折れないのがチャヌだ。闇多き世界の中で希望の光となり、先手を打って導いてくれるその姿には絶対的な安心感もある。

『不夜城の男』©︎2019 MERRYCHRISTMAS & MCMC All Rights Reserved.

 また、国家情報院に出向させられた検事ハン・ジフンに扮した映画『夜叉 容赦なき工作戦』では真面目さが際立つ演技を見せる。本庁復帰をかけて中国にある支部に調査に入ることになったジフンは、始めは正義感だけで物を見て作戦の邪魔をしていたが、捜査官たちの本当の目的を知ってからは機転を利かせた作戦を繰り広げていく。『不夜城の男』とは違って頼りない部分もあるが、そんな彼が頭を使って悪を成敗する姿には爽快さも感じられる。

 異国の地と言えば、国家情報院の捜査官を演じたドラマ『ナルコの神』での活躍も記憶に新しい。主人公イング(ハ・ジョンウ)は異国の地スリナムで一攫千金を狙う最中、見覚えのない容疑で刑務所に入れられてしまう。そこに現れるのがパク・ヘス演じるチャンホだ。彼は麻薬王のチョン・ヨハン(ファン・ジョンミン)を捕まえるため、ヨハンを知るイングに作戦に参加することを要求する。時折勝手な行動を見せるイングに不信感を抱きつつ、上司とのやりとりに苦戦するなど、板挟みになる社会人らしい苦悩も見せるチャンホ。視聴者はイング目線で観ているため、チャンホが現れた時の安心感も大きい。キレキレの頭脳と同時に、頼りたくなってしまう人間味を感じることができる作品だ。

『ナルコの神』Cho Wonjin/Netflix © 2022

 最後に、真面目が故にクスッと笑えるパク・ヘスを観ることができる作品も紹介したい。プロ野球選手ジェヒョクに扮した『刑務所のルールブック』だ。過剰防衛の容疑で服役を余儀なくされたジェヒョクの刑務所での生活を追った物語で、同部屋の仲間たちとの絆やジェヒョクの友人で刑務官のジュノ(チョン・ギョンホ)との熱い友情などが溢れるヒューマンドラマ。天然だが頭が切れる瞬間もあり、野球に関しては努力をかかさない真っ直ぐなキャラクターとして存在している。犯罪者として扱われるもののダークな作品ではなく、パク・ヘスの違った一面を観たい時にうってつけの作品だ。

『刑務所のルールブック』(写真:Everett Collection/アフロ)

 他にも『ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』や『キマイラ』など人気作への出演が続いてきたパク・ヘス。今後も『悪縁』のような一段と狂っている姿を見せてくれるのか、もしくは『刑務所のルールブック』のようなヒューマンドラマに出演するのか。どちらのジャンルでも独特の存在感で成功を収めるであろう彼の活躍をこれからも見守りたい。

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