ラミ・マレックが怪演! 『アマチュア』“素人”の強みと狂気を活かした必見の復讐劇

『アマチュア』ラミ・マレックの怪演は必見!

ラミ・マレック、今度は“狂気が垣間見える愛妻家”を怪演

 これまで書いたように、チャーリーは複雑なキャラクターだ。そして、その複雑性はマレックが演じたからこそ表現できたものに思える。『ナイト ミュージアム』のアクメンラーから『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の悪役サフィンまで、幅広い役柄を演じることで知られているマレック。フレディ・マーキュリーを演じた『ボヘミアン・ラプソディ』ではアカデミー賞主演男優賞を受賞し、人気ドラマシリーズ『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』でもエミー賞主演男優賞(ドラマシリーズ部門)を受賞するなど、これまで数多くの作品でその演技力が讃えられてきた。

 特に『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』で演じた有能なセキュリティエンジニアのエリオットは、どこか『アマチュア』のチャーリーを彷彿とさせる。どちらも表情が乏しく、声の抑揚も抑えられ、人間関係がそこまで得意ではないものの、僅かな数の心開ける人がいる。そして何より、パソコンに強くてハイIQであることもそれぞれのキャラクター同士が持つ特徴だ。マレックには“天才”役が本当に似合う。それは本作でも遺憾なく発揮されているのだが、個人的にとても惹かれたのは、“愛妻家”の側面における演技だ。

 本作で心に残ったのは、出張に行く妻・サラを送るシーン。忙しなく出かける準備をするサラのために、コーヒーを丁寧に淹れるチャーリー。彼のコーヒーを飲みながら、植物の水やりについて話す2人の間に流れる時間が穏やかで、夫婦の愛情が感じられる。何より、妻が車を発車させるシーンで、しばらく車体に手をかけながら一緒にチャーリーが走っていくのだが、その時のマレックの目の演技が本当にすごいのだ。この短く、ささやかな冒頭のシークエンスだけで、チャーリーというキャラクターの軸となるのが妻への愛だと十分にわかる。そんな地に足のついた演技の中に垣間見える、チャーリーの“狂気”の塩梅が本作の見どころだ。

 協力者のインクワライン(カトリーナ・バルフ)との共演シーンでも、繊細な芝居をしているマレック。本作はそういった人間同士の関係性、その中で見える主人公や他の登場人物の人間性を描くシーンも、「復讐劇」を描くうえで重要視されていることが大きな魅力でもあるのだ。ぜひ、そんなマレックの怪演とともに作品を楽しんでほしい。

映画『アマチュア』本予告|CIAで最高IQを持つ男|4月11日(金)劇場公開!

■公開情報
『アマチュア』
4月11日(金)全国ロードショー
出演:ラミ・マレック、ローレンス・フィッシュバーンほか
監督:ジェームズ・ホーズ
製作:ラミ・マレック
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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