『あんぱん』“ヤムおんちゃん”阿部サダヲは食わせもの? 中園ミホ脚本の巧妙な人物描写

『あんぱん』(NHK総合)第2話が4月1日に放送された。のぶ(永瀬ゆずな)がうどん屋の前を通りかかると人だかりができていた。草吉(阿部サダヲ)が焼きたてのパンを嵩(木村優来)と子どもたちに配っていたのだ。手に取って一口かじったのぶは目を丸くする。それはほっぺが落っこちるように美味しかった。
子役パートのある朝ドラの第1週でやることは決まっている。いわゆる「天地人」、時代、場所、登場人物を提示することが定石だ。中園ミホが脚本を手がける『あんぱん』でもこの構成は踏襲されていて、膨大な情報量を手際よく整理していく。

時代は昭和初期、場所は高知の御免与町、登場人物はのちに『アンパンマン』を送り出す柳井嵩(北村匠海)と妻・のぶ(今田美桜)。太陽が輝く空の下で、2人の子ども時代はキラキラと輝いて見えた。
子役パートは大人たちの紹介も兼ねている。のぶの実家は石材店だが、父の結太郎(加瀬亮)は商社マン。祖父の釜次(吉田鋼太郎)は石材店を経営し、若い豪(細田佳央太)を弟子に取っている。いずれ店を継がせるつもりだろうか。
使用人も加わり三世代で食事をする朝田家に対して、嵩のほうは複雑な事情が垣間見える。御免与町で開業する医師で伯父の寛(竹野内豊)を頼ってやってきた嵩だが、母の登美子(松嶋菜々子)は必ずしも本意ではなさそうだ。西洋かぶれな寛と千代子(戸田菜穂)についていけないと、女中のしん(瞳水ひまり)に不満をもらす。

寛の家には、物心つかない頃に弟の千尋(平山正剛)も引き取られていた。今回、嵩が一緒に暮らすことになったのは、父の清(二宮和也)が病死したことと関係があった。
朝一番で吉田鋼太郎と阿部サダヲのおもしろすぎる問答を目にした上、加瀬亮と二宮和也のダブルお父さんに満腹感がすごい。そうじゃなくても母親と伯母が松嶋菜々子と戸田菜穂の朝ドラヒロインなのに、ひとまずキャスティングは100点である。




















