多部未華子は時代を映す主演俳優だ 『ナギサさん』とは正反対の役柄で挑む『対岸の家事』

4月1日から始まる火曜ドラマ『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』(TBS系)。多部未華子演じる主人公の詩穂は育児と家事に奮闘する専業主婦で、朱野帰子の同名小説を原作としている。
結婚するのかしないのか、結婚したら仕事を続けるのか、家事・育児に専念するのか。その選択によって人生が大きく変わることもあるし、どの人生を選ぶのが正解なのかは人によって答えも違う。情報や選択肢が多いゆえに人生に迷いやすく、SNSでの発信により他人の芝生は青く見える現象も際立つ昨今。専業主婦という家事を仕事に選んだ主人公が出会うのは、働くママ(江口のりこ)や育休中のエリート官僚パパ(ディーン・フジオカ)など家事に対する考え方が正反対な「対岸にいる人たち」だ。

家事という労働に関わらざるを得ない現代人にとって必見のドラマとなりそうな予感もあり、この物語をきっかけに家事と仕事について改めて考えたくなる人も多いはず。
ちなみに、TBS系火曜ドラマで朱野帰子原作といえば、吉高由里子主演『わたし、定時で帰ります。』も大いに話題になった作品だ。放送されたのは2019年4月19日から6月25日で「働き方改革」が法的な制度としてスタートしたのが2019年4月1日のこと。長時間労働が当たり前、むしろ美徳とまでされる日本の社会人に定時退社を貫く主人公は新鮮で強い印象を残した。日本人が注目するドラマということで、米国を代表する日刊新聞紙、ニューヨーク・タイムズが2019年6月19日付の紙面で『わたし、定時で帰ります。』を取り上げ、日本人の働き方を少しの皮肉を交えて紹介していた。
向井理が最終回で見つけた大切なもの 『わたし、定時で帰ります。』が切り込んだ“完璧人間”の弱さ
『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)が最終回を迎えると同時に、種田ロスの声があちこちで上がっているようだ。 本作…自分の時間、私生活を犠牲にしないために定時で帰宅し、行きつけの中華料理店のハッピーアワーのビールを飲むのが『わたし、定時で帰ります。』の主人公・東山結衣(吉高由里子)の日課だった。仕事に対してやる気がないわけではなく、むしろ積極的に取り組み、生産性や効率を考えた上で手際良く働いているからこそ、自分を労う意味でもおいしいビールが飲めるのだ。
同じ会社で同じ仕事をしていても、たとえ気の合う同僚だとしても人にはそれぞれ事情があり、仕事に対する思いや価値観が違うのは当然のこと。また、時代によって「働き方改革」のような制度が整い、職場環境に変化が生じることもある。令和7年の今、かつてと比べれば、多くの女性は結婚後はもちろん、出産しても仕事を続けられるように変化はしている。

『対岸の家事』の第1話のタイトルは「専業主婦は絶滅危惧種…!?」である。原作小説の第1話も「専業主婦が絶滅危惧種になった日」となっていて、詩穂は自分が選んだ専業主婦という生き方が少数派であり、「なぜ働かないのか」と専業主婦だとその理由を問われたり、仕事を持つ主婦たちと微妙に会話が噛み合わないことに気づく。「対岸にいる人たち」との噛み合わないやり取りを通じてお互いにどんな変化が起きるのか、そこも気になるところだ。























