マーガレット・クアリーからマイキー・マディソンまで 『ワンハリ』出演俳優の躍進続く

『ワンハリ』出演の俳優の躍進が止まらない

『ユーフォリア/EUPHORIA』でも大ブレイクのシドニー・スウィーニー

 さて、今アメリカを中心に世界で大ブレイクしている注目俳優、シドニー・スウィニー。彼女も実は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で、ファミリーの一家である少女を演じていた。そしてホーク同様に、同年からスタートしたシリーズ『ユーフォリア/EUPHORIA』にメインキャストとして出演し、プライムタイム・エミー賞の助演女優賞にノミネートされるなど、一気に注目を浴びた。しかし、それ以前にもテレビシリーズを中心に作品には出演してきたスウィーニー。特に2018年の『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』でも存在感を発揮していたため、ここから彼女を発掘した人もいるのではないだろうか。

『ユーフォリア/EUPHORIA』©2022 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.

 また、2021年の『ホワイト・ロータス / 諸事情だらけのリゾート』でも強い印象を残す演技を披露し、再びプライムタイム・エミー賞で助演女優賞にノミネートされたスウィーニー。映画の分野でも、2023年には『リアリティ』と『恋するプリテンダー』の2作で主演を務め、2024年には『マダム・ウェブ』でヒーロー映画に初出演した。また、『恋するプリテンダー』や2024年の『Immaculate(原題)』では主演と製作も兼任しており、着実に業界内での地位を築き上げている。

アカデミー賞にノミネートされたオースティン・バトラー

 最後に注目したいのが、オースティン・バトラーだ。彼の場合、“『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で有名になった”というより、“『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で俳優として開花した”のほうが正しいかもしれない。彼もマディソン同様に芸歴は長く、ニコロデオンやディズニーチャンネルのテレビシリーズに多く出演していた。しかし、クレジットなしの役や1話のみの出演も多い。そんな下積み時代の中、時には『ゾーイ101』シーズン4や『マンハッタンに恋をして 〜キャリーの日記〜』、『シャナラ・クロニクル』などでメインキャストも務めてきた。一時期ヴァネッサ・ハジェンスと付き合っていたこともあり、アイドル的な人気があったバトラー。しかし、彼が『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で見せたのは別の顔だった。

『エルヴィス』©︎2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 バトラーが演じたのは、マディソンと一緒にポランスキー邸を襲撃しようとしたグループの1人だ。映画のクライマックスシーンとしても印象的なため、本稿で取り上げた5人のうちの3人が共通して襲撃グループのメンバーを演じていたことも、不思議ではないかもしれない。バトラーはその中のリーダー的な立場で、ピット演じるクリフに銃を向けて一緒に笑うシーンが面白い。しかし、犬に腕と股間を噛まれ、絶叫。彼もマディソンと同じくらい叫びの演技が多かった。本作の出演以降の活躍と言えば、2022年の『エルヴィス』だろう。エルヴィス本人になりきった彼の演技、そして歌声は高く評価され、あのエルヴィスの元妻としても知られるプリシラ・プレスリーからも大絶賛されたほど。ゴールデングローブ賞の主演男優賞を受賞、アカデミー賞主演男優賞にまでノミネートされた。

 その後、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『デューン 砂の惑星PART2』でヴィラン役のフェイド=ラウサを演じたことも話題に。また、現在企画中ではあるが、ルカ・グァダニーノ監督の最新作『American Psycho(原題)』で、かつてクリスチャン・ベールが演じていたパトリック・ベイトマン役を演じることが決定している。

 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』から立派な成長を遂げ、今や一躍人気者となった俳優陣。今後の活躍も注目を浴びそうだ。

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