『ガンニバル』S2、いきなりクライマックスのような怒涛の展開! 紐解かれる後藤家の歴史

『ガンニバル』S2、冒頭から怒涛の展開!

 亡き後も圧倒的な支配力を有する後藤銀という存在に従いっぱなしの後藤家の連中と、供花村で生活していくために彼らに従うことしかできない村人たち。それに真っ向から立ち向かっていく大悟と、彼の背後には国家権力である警察がついている。このシンプルな村vs国(こう書くと、後者の方が圧倒的有利に見えるが、それが通用しないのが村社会というやつであろう)の対立構図の狭間に立っているのが、後藤家の新当主となった恵介であるということを忘れてはならない。

 本来であれば後藤家のど真ん中にいて旗振り役となるはずの存在である彼は、後藤家の、ないしは供花村の因習を壊すために内面に多くの葛藤を秘めている。しかもかつて後藤家によって殺された元駐在の狩野(矢柴俊博)の娘すみれ(北香那)と恋仲にあり、彼女が子を授かったことによって、ますますその葛藤が大きくなっていると窺える。巨大で根深い悪しきものを打ち崩すには、内側から、しかもその中心から崩していかなければならない。そういった意味でも、この第1話と第2話を観る限り、シーズン2は恵介というキャラクターの比重が大きくなるはずだ。

 第2話のハイライトともいえる、後藤家と警官隊との衝突。金丸率いる警察が機動隊を引き連れて後藤家にやってきて、猟銃の検査を行う(折檻部屋を見つけるたばこの煙の一連は、実に優れた脚色だ)。それは、どこかに隠されている子どもたちを救出するための作戦の一環だったのだが、後藤家の連中はすぐに勘付き、“あの人”の襲撃を合図にまさに戦争と呼ぶに足る凄惨な様相に。来乃神神社の宗近(田中俊介)を通し、子どもたちを救出するよう大悟に協力を求めたのは恵介であったとわかるのだが、それが戦争を焚き付けることになるのは予想外だったのだろう。惨状を見つめる彼の生気を失った視線は、まさしく“恵介の物語”の始まりを告げるものといえよう。

 そして新たな登場人物として、後藤家の理(さだむ/中島歩)が登場し、彼は大胆にも有希とましろが乗った車にトラックで突っ込み2人を拉致する。彼女たち――というか、ましろは祭りで奉納される子どもたちの“代わり”となるであろうことが、第2話のクライマックスで触れられる。娘が危険に晒された時、大悟が最も凶暴になるということは、シーズン1の第3話で大悟の過去が明らかになったことからも明白だ。それを踏まえると、ここから供花村で起こりうる展開は、“戦争”以上の壮絶なものとなるに違いない。

■配信情報
『ガンニバル』シーズン2
ディズニープラススターにて独占配信中
出演:柳楽優弥、笠松将、吉岡里帆、高杉真宙、北香那、杉田雷麟、山下リオ、田中俊介、志水心音、吉原光夫、中島歩、岩瀬亮、松浦祐也、永田崇人、ジン・デヨン、六角精児、恒松祐里、倉悠貴、福島リラ、谷中敦、テイ龍進、豊原功補、矢柴俊博、河井青葉、赤堀雅秋、二階堂智、大鷹明良、利重剛、中村梅雀、橋爪功、倍賞美津子
原作:『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊)
監督:片山慎三、佐野隆英、大庭功睦
脚本:大江崇允、廣原暁
プロデューサー:山本晃久、半田健
アソシエイトプロデューサー:山本礼二
©2025 Disney

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「リキャップ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる