『おむすび』“真紀そっくり”の患者に思い悩む結 コロナ禍の“孤独”との向き合い方を問う

『おむすび』コロナ禍の“孤独”を描く

 だが、まだ良かったのは、スズリンとルーリーの場合はハギャレンという場所があったこと。一緒にはしゃぐことができて、自分に何かあったら心配してくれる仲間がいたし、結の家族も助けてくれた。でも、現代は社会的な繋がりが希薄化し、困っているときに頼れる場所が少ない。もちろん、家庭や学校で孤立する若者が集まるコミュニティも存在しないことはないし、SNSでどこでも人と繋がれる時代だが、その結果として犯罪に巻き込まれてしまうケースもある。そんな中で、誰も自分を必要としていないという孤独を深めている若者も多いのではないだろうか。食べることは、自分を大切にすること。自分を大切にできない詩に、どうすれば食事を取ってもらえるのかが結の課題になってくるだろう。

 また孤独を感じているのは、詩のような10代、20代の若者だけではない。両親が共働きで夜遅くまで一人で過ごす子ども、一人暮らしの高齢者もいる。聖人(北村有起哉)はそういう人たちの居場所を作りたいと考え、再開した子ども食堂プロジェクトの責任者を引き受けた。それが、糸島を飛び出してきた自分を受け入れてくれた神戸への最後の恩返しと聖人は考えている。一方で、愛子(麻生久美子)は聖人と糸島に移住したいと考えていた。コロナ禍では、一人暮らしの佳代(宮崎美子)を心配し、糸島でしばらく暮らしていた愛子。その時にやっぱり佳代を一人にしておけないと思ったのか、それとも前々から望んでいたイチゴ栽培を始めたくなったのかはわからない。いずれにせよ、愛子の中で譲れないものが生まれたことは確かだ。その想いに、これまで支えてもらってきた聖人はどう応えるのだろうか。

■放送情報
連続テレビ小説『おむすび』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:橋本環奈、佐野勇斗、仲里依紗、北村有起哉、麻生久美子、新津ちせ、大島美優
語り:リリー・フランキー
主題歌:B'z「イルミネーション」
脚本:根本ノンジ
制作統括:宇佐川隆史、真鍋斎
プロデューサー:管原浩
写真提供=NHK

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