『おむすび』“真紀そっくり”の患者に思い悩む結 コロナ禍の“孤独”との向き合い方を問う

『おむすび』コロナ禍の“孤独”を描く

 結(橋本環奈)が健康弁当を監修したコンビニ会社からスカウトを受ける中、世界を襲った新型コロナウイルス。家族との離れ離れの生活、世間から医療従事者に向けられる偏見に苦しみながらも、結は病院管理栄養士の仕事が自分にとって大切なものであることを実感する。そしてついに緊急事態宣言が解除され、家族と再会。

 その後も徹底した感染対策を続けながら、約3年の月日が経った。『おむすび』(NHK総合)第116話では、日常が少しずつ元に戻り始める中、結の病院に気になる少女が入院してくる。

 2023年12月。結の娘・花は中学生となり、キャストも子役の宮崎莉里沙から新津ちせにバトンタッチとなった。髪が伸びたことで少し雰囲気は変わったものの、元気いっぱいなところは相変わらず。翔也(佐野勇斗)は大人びていく娘の恋愛事情が気になっているようだが、花は今もサッカーに夢中のようだ。

 翔也は一人前の理容師になり、お客さんから指名を受けるように。歩(仲里依紗)はコロナ禍で始めた配信動画をきっかけに人気を集め、インフルエンサーのような存在となっていた。演じる仲里依紗も俳優業の傍ら、YouTuberとしても活動しているので、何だか重なるところがある。歩がギャルマインドの伝道師という肩書きで開いているセミナーは若干怪しげだが、あくまでも内容は健全だ。

 一方、結は病院管理栄養士となって9年目を迎え、科長補佐に就任。補佐と言えども、科長の塚本(濱田マリ)からは様々な業務を一任されており、責任あるポジションだ。NST(栄養サポートチーム)でもリーダー的存在として、メンバーから頼られている結。そんな中、栄養失調で消化器内科病棟に入院してきた患者の栄養指導を担当することに。その患者はIDカードもお金もスマホも所持しておらず、身元不明だという。意識が戻っても一切食事を取らないことから、NSTの対象となった。

 まずは一人で話を聞きに行くことになった結は、患者の顔を見て驚く。阪神・淡路大震災で亡くなった歩の親友であり、孝雄(緒形直人)の娘・真紀(大島美優)と瓜二つだったからだ。しかし、似ているのは見た目だけで、性格は正反対と言ってもいい。真紀はいつも笑顔で人懐っこい性格だったが、彼女は暗い表情で心を閉ざしてしまっており、結が食事の大切さを説いても「別に死んでもいいし」と言い放つのだった。

 その後、患者の名前は田原詩(大島美優の二役)と判明する。8歳の時に両親を交通事故で亡くし、児童養護施設で育った詩。中学卒業後に就職したスーパーの仕事が続かず、2週間前に先輩を頼って大阪に来たが、スマホと財布を盗まれて路頭に迷っていたという。そんな彼女に、「ご家族が悲しむよ」とつい言ってしまった結。たまたま結は温かい家庭に恵まれていたが、世の中にはそうではない人も多い。裕福とは言えない母子家庭で育ち、栄養失調だったスズリン(岡本夏美)もそう。ルーリー(みりちゃむ)は経済的には恵まれていたが、両親が共働きで孤独を感じていた。

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