『デアデビル:ボーン・アゲイン』エッジの効いた作風に大興奮! MCUに吹き込む新たな風

『デアデビル:ボーン・アゲイン』に大興奮!

“市長”ウィルソン・フィスクと“生”のニューヨークに注目

 物語は、キングピンことフィスクが市長選に乗り出し、なんと当選してしまうところから始まる。『デアデビル』シリーズに欠かせない、“屋上から夜のニューヨークを見下ろすショット”はいつだってデアデビルのものだった。しかし今回は、パワーバランスの崩壊を意味するかのように、フィスクが屋上から街とマードックを見下ろす。

 原作コミックでも人気の高いフィスクが市長になる展開はMCUの『キャプテン・アメリカ』シリーズ同様に政治的であり、作品に重厚感をもたらしている。もともと『デアデビル』はヒーローコミック作品ではありつつ、かなり地に足のついた物語とキャラクター描写が人気だった。その路線は本作で崩れるどころか、より一層しっかり保たれているように感じる。犯罪王の彼が若者からの支持により当選、時より挿入される街角インタビューでは世代間でポリティカルビューが違うなど、かなり現実に寄り添うような演出がされていて印象的だ。

 フィスクが市長になったことに危機を覚えるマードックだが、フィスクにもやらなければいけないことがたくさんある。前作で離れ離れになってしまった妻・バネッサとの関係修復は本人にとって政治より大切なことだろう。彼女との繋がりや関係を通してフィスクの人間像が描かれる、そういった点にも、先述の「ヴィランも生身の人間」として描く『デアデビル』ならではの良さが詰まっている。

 最後に、「良さが詰まっている」といえば、本作で映されるニューヨークだ。「“映画に出てくるニューヨーク”ではなく、皆さんが知っているニューヨークを捉えたかった」と事前の会見でエグゼクティブプロデューサー兼監督のジャスティン・ベンソンが語っていたが、彼の意図が映像を観ているだけですぐに理解できるようになっている。第1話でマードックとカレン、フォギーが馴染みの店で馴染みの仲間たちとお酒を飲んで楽しい時間を過ごすシーンも、まさに“ニューヨーカーによるニューヨーク的な夜の過ごし方”として撮られていて、本当に『デアデビル』の世界がこの土地に根付いているのだと感じられるのだ。この街には他にもヒーローがいる。しかし、どのヒーロー作品よりも街との繋がりを重要視する『デアデビル:ボーン・アゲイン』でしか観られない“生のニューヨーク”にもぜひ注目して、物語の世界観に浸ってほしい。

マーベル・スタジオ『デアデビル:ボーン・アゲイン』|予告編

■配信情報
『デアデビル:ボーン・アゲイン』
ディズニープラスにて独占配信中
出演:チャーリー・コックス、ヴィンセント・ドノフリオ、デボラ・アン・ウォール、エルデン・ヘンソン、ジョン・バーンサルほか
ショーランナー:ダリオ・スカーダペイン
製作:ケヴィン・ファイギ
©︎2025 Marvel

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