『ニュートピア』『アスダル年代記』 BLACKPINK ジス、女優業で新境地を切り開く

BLACKPINK ジス、女優としての強みを紐解く

 今や世界のスーパースターとなった韓国のガールズグループBLACKPINK。メンバーのジェニー、ロゼ、リサがグローバルな活動を見せる中、女優として韓国国内で新たな才能を見せているのが最年長のジスだ。

 独特のハスキーボイスとキュートな人柄で魅了する彼女は、新曲「earthquake」を引っ提げ、歌手としてカムバックしたばかり。女優としても、ヒロインを務めたドラマ『ニュートピア』が現在配信中であり、より一層世間の注目を浴びている。

『ニュートピア』

Newtopia - Official Trailer | Prime Video

 『ニュートピア』は、兵役中の彼氏ジェユン(パク・ジョンミン)と会社員の彼女ヨンジュ(ジス)が切ない別れを迎えようとした最中、街にゾンビが溢れ出すという物語だ。ジェユンは特別任務中にホテルの屋上に取り残され、実質ビルに軟禁状態。一方で外出中だったヨンジュはジェユンの元へ向かおうと、一緒にいた会社の先輩や途中で出会った人々と共にゾンビに立ち向かっていく。

 悲観的な物語ではなく、ロマンスドラマの雰囲気の中にいきなりゾンビが突っ込んできたり、安全な場所でゾンビを見ながら酒飲みまくったり、恐怖とユーモアが共存するドラマ。可愛らしいイメージのジスが顔を歪めてヒッチコックの『サイコ(1960)』並に叫びまくり、ヘタレな先輩を差し置いて勇敢に彼氏の元へ向かおうとする姿はとても新鮮だ。

『アスダル年代記』

『アスダル年代記』- ティーザー予告 - Netflix [HD]

 ジスは様々な作品にカメオ出演した経験があるが、その中でも印象的だったのは『アスダル年代記』ではないだろうか。太古の地を舞台に、土地を広げて世界を支配しようとする“サラム”とサラムとの戦争によって滅んでしまった“ネアンタル”、そしてサラムの部族同士の対立や人々の欲と悲劇を描いた物語だ。

 現代ではなく、近代でも朝鮮時代でもない、原始的な時代で繰り広げられる人間模様の中ジスが演じたのは、サラムとネアンタルの混血“イグトゥ”で塔の中に軟禁されているサヤ(ソン・ジュンギ)の召使いで、一緒に逃げる約束をしたセナレだ。サヤの回想として、逃げる約束をして抱き合うシーンで登場し、セリフは一言のみだが、未来にあるであろう幸せを思い浮かべて嬉しそうな笑顔を見せている。しかし次のシーンでは、サヤがセナレにあげたブレスレットが血まみれになっており、逃避行計画は永遠に遂げられることがなくなってしまう。ジスの華やかでありながら儚さを感じる佇まいが、全体的に悲しみが漂うストーリーに切ない深みを与えるのだ。アイドルといえばパフォーマンス時の表情管理やミュージックビデオでの短い芝居など、演技と似た表現力が求められることがある。とはいえ演技経験が少ないジスが、キーパーソンでもあるセナレのイメージを作り上げたことは大きな意味があるだろう。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる