『ホットスポット』の笑いの中にある極めて現代的な問題 角田晃広がバカリズムの具現者に

『ホットスポット』の中にある現代的な問題

 バカリズムの単なる愉快なあるあるではない視点を、今回見事に演じているのが角田である。角田が淡々とした手つきでバカリズムの引いた視点を見事に体現している。彼のみならず、市川実日子も、平岩紙も鈴木杏も夏帆も田中直樹も坂井真紀も、誰もが皆、淡々と状況を語ることに徹している演技巧者の集まりだ。

 「この世は舞台、人はみな役者に過ぎない」とシェイクスピアのセリフにあるように、誰もが、その場にふさわしい役割を演じながら生きている。岸本が最初に町へ取材に来たとき(バレー回と同じ第2話)、「富士山は静岡、山梨、どっちのもの?」と住民に意見を求め、はっちや由美は、テレビが求めているであろう最適解をしようと務めていた。テレビに出たい欲求もあるとはいえ、これが、この町の人たちの特性であり、引いては、日本人らしさともいえるだろう。期待されていることに応えようとしてしまうあるある。そうしていれば、なんとか生きていけるから。

 いまここ、浅田市の住民としてどうあるべきか、清美も高橋も、誰もが配慮して、長年生きていたところ、ホテルがなくなるという情報が未来人という村上によってもたらされる。50年先からやってきたという村上は、このあたりも変わっていくとしみじみする。あるときふいに、暮らしている環境が変わってしまったら、清美たちは、これまで通りに行動したりしゃべったりできるだろうか。極めて現代的な問題である。いつまでも、清美たちと高橋がほのぼの生活できることを願わずにはいられない。

『ホットスポット』の画像

ホットスポット

『ブラッシュアップライフ』チームと脚本・バカリズム再びタッグを組むオリジナルドラマ。ビジネスホテルに勤めるシングルマザーの主人公・遠藤清美が、ある日、ひょんなことで宇宙人に出会ったことから物語が展開していく。

■放送情報
『ホットスポット』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:市川実日子、角田晃広(東京03)、鈴木杏、平岩紙、田中直樹、夏帆、池松壮亮、前田旺志郎、小日向文世、白石隼也、木南晴夏、菊地凛子
脚本:バカリズム
演出:水野格、山田信義、松田健斗
プロデューサー:小田玲奈、小田井雄介、櫻井雄一、野田健太
チーフプロデューサー:道坂忠久
音楽:fox capture plan
企画協力:マセキ芸能社
制作協力:ソケット
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/hotspot/
公式X(旧Twitter):https://x.com/hotspot_ntv
公式Instagram:https://www.instagram.com/hotspot_ntv
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@hotspot_ntv

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