矢本悠馬は“変人らしさ”を自在に操る 『相続探偵』で発揮されるキャラ作りの妙

もともと子役として役者デビューした矢本は、一度芸能界の仕事を辞退しているが、2011年から大人計画に研究生として参加し、青山祥子・井上尚・菅井菜穂とともに「劇団こまつな」の旗揚げに携わった。2015年には『ブスと野獣』(フジテレビ系)で連続ドラマ初主演を果たし、頭でっかちなブス男・中田健太をコミカルに時にはシリアスに演じた。『教場II』(フジテレビ系)、『六本木クラス』(テレビ朝日系)、映画『ちはやふる』シリーズ、『君の膵臓をたべたい』といった話題作でも強烈なインパクトを残してきた矢本だが、朝ドラ『半分、青い。』(NHK総合)でヒロイン・楡野鈴愛(永野芽郁)の同級生・西園寺龍之介(ブッチャー)のリーゼント、『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の番長・今井勝俊(仲野太賀)を支える健気な不良・谷川安夫のセンター分けなど、個性的な髪型とキャラクターでも魅了してきた。引き受けてきたキャラクターの性格もあるが、矢本が個性派と言われるのは見た目の部分も大きいだろう。

この2作品と比べると、『相続探偵』で矢本が演じる朝永はマッシュルームヘアと見慣れた姿である。だが、あまりにも強烈な個性があるがゆえに、矢本にしか演じられないキャラクターになっている。毎話朝永は一定の活躍を残しているが、特にフォーカスされたのは第3話だろう。第3話では朝永が保護猫カフェの店長・ソフィー(トラウデン直美)に片思いしていることが判明。ソフィーを思うがあまりボーッと夢想したり、ソフィーに見つめられて顔をあからめたり……あれだけ何に対しても興味がなさそうな朝永が見せる多彩な表情がかわいくて愛おしい。あくまでもバイプレイヤーとして物語を引き立てながらも、自らの個性も出して、作品全体に独特の色を加えているのが矢本の真骨頂だ。彼の演技は、単なる脇役にとどまらず、物語の流れにアクセントを加え、時には視聴者の印象を大きく左右する存在感を発揮する。その絶妙なバランス感覚は矢本が個性的なキャラクターでこそ重宝されている理由なのだろう。
『相続探偵』における朝永もまた、矢本だからこそ成立するキャラクターだ。原作の持つ魅力を忠実に再現しながらも、実写ならではの“生きた存在”として息を吹き込む。その演技が、物語にユーモアと深みを与え、視聴者に印象的なシーンを刻み込んでいく。矢本が次にどんな表情を見せてくれるのか、その演技には常に新たな発見がある。彼の存在は、私たちに笑いと温かさを届けてくれる。
参考
※https://www.ntv.co.jp/souzokutantei/articles/44925nvxg1hr11gmc0i4.html
『イブニング』で2021年から連載中の西荻弓絵と幾田羊による同名漫画を実写ドラマ化するヒューマンミステリー。『SPEC』シリーズなどを手がける原作者の西荻自ら脚本を担当する。
■放送情報
土ドラ9『相続探偵』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00~放送
出演:赤楚衛二、桜田ひより、矢本悠馬、落合モトキ、石井正則、渋川清彦、三浦貴大、加藤雅也
原作:『相続探偵』原作・西荻弓絵/漫画・幾田羊(講談社『モーニング』所載)
脚本:西荻弓絵
演出:菅原伸太郎、長沼誠ほか
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:島ノ江衣未、石井満梨奈(AX-ON)、本多繁勝(AX-ON)
協力プロデューサー:次屋尚、吉川恵美子(AX-ON)
音楽:佐藤航、Gecko&Tokage Parade
制作協力:日テレアックスオン
©日本テレビ
©西荻弓絵・幾田羊/講談社
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