『相続探偵』山村紅葉×床嶋佳子で増すサスペンス感 小関裕太と白洲迅の“演技バトル”も

『相続探偵』山村紅葉×床嶋佳子でサスペンス

 「京都 老舗和菓子屋の変 ―前編―」と題された『相続探偵』(日本テレビ系)第4話。見どころは何といっても、ゲスト俳優の山村紅葉と床嶋佳子の対決だろう。どちらもサスペンスドラマの常連で、床嶋はその“女王”、山村は“裏女王”という異名を持つ。舞台が京都ということもあり、本来のジャンルはミステリーだが、今回はサスペンス感が増し増しだった。

 「けったいなこと言いはるなあ」などと使われる京都の方言「けったい」は、「奇妙な」「風変わりな」という意味を持つ。灰江(赤楚衛二)が“けったいな遺言”と称したのは、京都で100年以上の歴史を誇る菓子匠「鳳凰」の大将・紘一(大河内浩)の遺言だ。

 紘一には2人の息子がいて、一人は正妻・雅(山村紅葉)との間に生まれた正臣(小関裕太)と、「鳳凰」の従業員で妾の多津子(床嶋佳子)との間に生まれた野心(白洲迅)。正臣はろくに働きもせず、花街通いをしている“アホぼん”で、黄綬褒章も受賞した紘一の菓子職人の技術は弟子である野心が受け継いでいる。

 ところが、紘一の遺言書には「すべての財産を正妻・雅と嫡男・正臣に各2分の1の割合で相続させる」と書かれていた。つまり、多津子と野心には一銭も入ってこないばかりか、店は雅と正臣のものになってしまう。そのことに納得がいかない多津子から相談を受けた灰江。多津子の話によると紘一は生前、自分が死んだら「『鳳凰』という“ブランド”を正臣に、“作業場”と“売り場”を野心に」と話していたという。そんな“けったいな遺言“に興味を持った灰江は令子(桜田ひより)、朝永(矢本悠馬)とともに京都へ。

 紘一の遺言書が偽物であるという証拠を掴もうとするが、意外にもあっさりと問題は解決する。骨肉の後継者争いの鍵を握っていたのは、番頭・与平(池田鉄洋)。かつては雅と正臣とも折り合いが悪かったはずが、なぜか二人は彼に新しく「鳳凰」の支店を任せようとしていた。ということは、与平が何らかの弱みを握っている。つまり、雅と正臣にとって不利な内容だった本物の遺言書を隠し持っているに違いないと考えた灰江。その予想は的中し、遺言書の隠匿を図った罪で雅と与平は取り調べを受けることに。

 さて、重要な本物の遺言書の中身は、紘一が多津子に話していた通りだった。金融資産と「鳳凰」の商標権は正臣に、菓子作りの作業場と店舗のある不動産は野心に相続されるという、名実を分ける結果となった。

 生前、「鳳凰の伝統は死んでも守らなあかんもんや」と語っていた紘一。彼のように伝統を重んじる日本人は多い。特に千年の古都と呼ばれる京都には、今もさまざまな伝統文化が息づいている。しかし、何を“伝統”とするかは人によって違うのかもしれない。野心は伝統とは、“味”や“技術”だと思っている。だから、「鳳凰」の商標権が使えなくなっても狼狽えず、新しく「野心」という看板を掲げ、自分についてきてくれた従業員たちと変わらぬ味で勝負していこうと考えた。ところが、客からしてみたら名前を変えた時点で新しい店であり、味は一緒でも「鳳凰」の時から据え置きの値段は「無名なのに高い」と感じるようで出だしは不調。

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