『それでも俺は、妻としたい』Pが語る舞台裏 風間俊介×MEGUMIのキャスティング秘話も

いろんなジャンルの作品にチャレンジできる「真夜中ドラマ」
ーー視聴者の反響はいかがですか?
山本:おかげさまでいろんなご意見ご感想をいただいています。新婚の方、結婚して数十年の方、これから結婚しようとしている方、離婚された方など、様々な立場の方に観ていただいていると思います。豪太の立場で気持ちがわかるという人もいれば、チカの立場で気持ちがわかるという人もいる一方、こういう夫婦を見ていたら辛い、結婚なんかしたくないという意見もあったりと、感想は立場によって様々ですね。
――観ている側に負荷のかかる作品だとは思うんですよ。小説もわかりやすい成長物語で終わらないですし。こういう物語を打ち出すことにも作り手の勇気を感じるのですが、辛い展開が続くことに対してはどのようにお考えですか?
山本:原作小説と同じように、豪太のダメっぷりは続きます。チカもずっと呆れて文句を言い続けるので、閉塞感のある重くてしんどいドラマになるとは思っていました。足立さんは「それがリアルな夫婦関係だし、ドキュメンタリーみたいなドラマにしたい」と言われていて、確かにそういうドラマではあるのですが、視聴者がどう受け止めるかは、私も恐い部分が少しありました。そのため、監督と相談して2人が付き合い始めた頃や新婚の頃のセックスレスでなかった過去の回想を挟み込むことで「あぁ、2人にもこういう時期があったんだね」と感じ取ってもらおうと思いました。あとは各話の冒頭にOPタイトルバックが入るのですが、この1分間弱に関しては、本編とは逆にハッピーでラブラブな2人の姿を映して「ホッとしてもらう」ことで安心感を与えるといった仕掛けをちりばめています。
――テレビ大阪で山本さんがこれまでやられてきたお仕事についても教えてください。
山本:テレビ大阪はドラマ制作に関しては後発の局なので、「何か面白そう」と思って観ていただけるような作品を作っていこうという姿勢を大切にしています。今回の『それ妻』もそうですし、漫画原作のものでも、既視感のない新しい展開がある不倫モノなどを選んでいて、原作のないオリジナルでも「この切り口は他にないよなぁ」というものを映像化しようと心がけています。他でありそうなものは極力やめて、「この手のジャンルはまだ他でやってないんじゃないか」というものや、「この切り口での連ドラってないよね」という作品を企画することが多いです。
――今回、僕はTVerの無料配信で作品を観たのですが、TVerやLeminoのような動画配信サービスを通して、地方局で制作したドラマが全国で観られているという現象も生まれていますね。
山本:関西エリアの方は地上波で観ていただいている視聴者も多いと思いますが、TVerができたことでテレ東の枠でかかっていない作品でも全国で観ていただけるようになったという印象です。今回の『それ妻』もキー局のプライムタイムで放送されているドラマがずらっと並んでいる中で、毎話トップ5に入ってくるので、大阪局もキー局も関係なく観られている印象です。
――プライムタイムのドラマと戦わなければいけないという意味では大変ですが、いい作品を作れば反響はあるという環境に変わってきてますね。
山本:ドラマ後発の大阪局が制作するドラマでも、そうやってTVerで上位に入って観てもらえる時代になったのは、非常にやりがいを感じるようになりました。
――「真夜中ドラマ」についても教えてください。枠がスタートしたのが2018年ですが、作品によってテレビ大阪主導のものとBSテレ東主導のものに分かれているという印象ですが、棲み分けはどのようになっているのでしょうか?
山本:基本的に1クールごとに制作幹事がテレビ大阪かBSテレ東か変わっていくのですが、BSテレ東の時はこういうジャンル、テレビ大阪の時はこういうジャンル、という明確な棲み分けはありません。枠としてのブランディングも特になくて、テレビ大阪としてはとにかく目立つような作品、観てもらえるような作品を作っていこうと、他のプロデューサー陣とも共有しています。
――確かに作品のラインナップは幅広いですよね。
山本:いろんなジャンルの作品にチャレンジできるので楽しいです。例えば、甲斐みのりさんの著書『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』(エクスナレッジ刊)を原案にした、名建築をめぐりながらランチを食べる『名建築で昼食を』というドラマをプロデュースしたのですが、「建築とグルメ」という、これまでにない試みの作品にチャレンジしました。
――『それ妻』も、ジャンル分けが難しい作品ですよね。ホームドラマといえばホームドラマですが、攻めた描写が多いですし。この作品はどういうジャンルの作品だと説明しているんですか?
山本:ホームドラマ、ヒューマンコメディ、ヒューマンドキュメンタリー……なんとも形容しがたいドラマですよね。「限りなくリアルに近い夫婦の物語」くらいが一番しっくりくるかもしれないですね。
――最後に、今後の見どころについて教えて下さい。
山本:個人的には6~7話ぐらいから、ものすごく面白くなっていきます。3~4話までは、夫がさせてくれない妻とするために試行錯誤するドラマに見えると思うのですが、6話あたりから2人の関係性が変わってくるんですよね。その変化が中盤から後半にかけての見どころですので、楽しみにしていただければ非常にありがたいです。
■放送情報
真夜中ドラマ『それでも俺は、妻としたい』
テレビ大阪:毎週土曜24:55~放送
BSテレ東:毎週土曜24:00~放送
Leminoにて1週間独占先行配信
TVerにて見逃し配信
出演:風間俊介、MEGUMI、嶋田鉄太、吉本実憂、熊谷真実、近藤芳正、内田慈、坂田聡、津村知与支、ぎぃ子、吉岡睦雄、カイラD、小池塁葵、芦川誠 ほか
原作:足立紳『それでも俺は、妻としたい』(新潮文庫刊)
脚本・監督:足立紳
プロデュース:佐藤現、岡本宏毅
プロデューサー:山本博紀、久保和明、寺田ひなた
オープニング主題歌:なきごと「愛才」([NOiD] / murffin discs)
エンディングテーマ:どぶろっく「ずっとずっと、ありがとう。」(TEICHIKU ENTERTAINMENT)
企画協力:新潮社
制作協力:レオーネ
制作:テレビ大阪/東映ビデオ
製作著作:「それでも俺は、妻としたい」製作委員会
©「それでも俺は、妻としたい」製作委員会
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