風間俊介は時代を象徴する俳優だ 『それでも俺は、妻としたい』ダメ夫役は“笑い”に期待
2025年1月11日よりテレビ大阪、BSテレ東で放送される真夜中ドラマ『それでも俺は、妻としたい』で、風間俊介とMEGUMIがW主演を務める。
原作は、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本などを手がけた足立紳の同名小説(新潮文庫刊)。売れない脚本家の夫とそんなダメ夫を罵倒する妻の夫婦“性”活エンターテインメントだ。今回のドラマ化では足立が自ら脚本・監督も務める。
いわゆる「セックスレス」を題材にした作品であり、風間は40歳を過ぎても売れない脚本家で収入なしのダメ夫として柳田豪太を演じる。『監察医 朝顔』(フジテレビ系)などではむしろ“良き夫”のイメージがある風間が、「レス」に悩むダメ夫という役柄にどう挑むのか。
ドラマ評論家の成馬零一氏は、「デビュー当時の風間さんの役柄には衝撃を受けた」と語る。
「風間さんはジャニーズJr.(当時)出身で、俳優として注目されたのは、1999年に放送された『3年B組金八先生 第5シリーズ』(TBS系)でした。当時は酒鬼薔薇事件の影響でいわゆる“キレる10代”に対しての言説があった時代ですが、風間さんが演じた中学生・兼末健次郎は、表面的には優等生だけど裏で教室を牛耳る少年という、90年代後半を象徴するようなキャラクターでした。次に話題になったのが2011年に放送されたドラマ『それでも、生きてゆく』(フジテレビ系)。坂元裕二さんが脚本を手がけている作品で、風間さんが未成年のときに同級生の妹を殺してしまった元少年Aの三崎文哉という、酒鬼薔薇事件の犯人のその後を思わせる青年でした。出所した文哉が再び殺人を犯すかもしれないという緊張感がドラマの見どころで、“何を考えてるかわからない不気味な青年”役ということで非常に話題になりました。2010年代前半に、こういう何を考えているのかわからない不気味な青年を演じさせると風間俊介さんは突出しており、NHK連続テレビ小説『純と愛』で演じたヒロインの夫・待田愛も他人の心が見えるどこか影のある青年で、『映画 鈴木先生』で演じた鬱屈を抱えた青年役も印象深かったです。風間さんの演じてきた役を見ていると、90年代後半にキレる10代と言われて就職氷河期に社会に出たことで、辛酸を舐めたロスジェネ世代の歴史そのもので、その世代を象徴する俳優だったのだと思います」
一方で、近年のように“好青年ないい人”というイメージもある風間。どのように初期の印象が変化していったのか。成馬氏はこう続けた。
「ある時期から世代の闇を担うような暗いイメージが変わってきて、『監察医 朝顔』(フジテレビ系)や『silent』(フジテレビ系)などでは、“普通”の青年役を演じるようになりました。俳優としてキャリアを重ね、30代を超えたあたりから、温和で優しい中年男性を演じる機会が増えていった。こういうことは俳優には時々起こる現象なんですよね。松田龍平さんもそうですが、キャリアの初期は不気味な、その時代の闇を背負う人のような役を演じていた人が、キャリアを重ねることでむしろ“普通”の人を演じるほうがハマっていく」