細田佳央太は“少年漫画の主人公” 時代を生きる若者としてのリアリティは唯一無二の表現に

2024年7月にディズニープラスで独占配信された『七夕の国』で主演を務め、世界から脚光を浴びた俳優の細田佳央太。他にも、『95』(テレビ東京系)、『あの子の子ども』(カンテレ・フジテレビ系)、『Shrink-精神科医ヨワイ-』(NHK総合)と3本のドラマに出演するなど、2024年も大活躍だった。その勢いは2025年に突入しても衰えそうもなく、4月から始まるNHK連続テレビ小説『あんぱん』で朝ドラ初出演を果たし、冬にはムロツヨシと共演するドラマ『雪煙チェイス』への出演も決定している。
4歳の頃から芸能界に身を置く細田の存在を世に知らしめたのは、2019年に公開された映画『町田くんの世界』だ。応募者1,000人超えのオーディションを見事勝ち抜いた細田は、タイトルロールにもなっている主人公の高校生・町田くんがその博愛精神で周囲の人々を癒していく一方で、ヒロインの奈々(関水渚)と出会い、誰かを特別に思う気持ちを知っていく様をコミカルかつ瑞々しく映し出した。
『町田くんの世界』細田佳央太×関水渚が明かす、大役抜擢の裏側と豪華共演者から学んだこと
映画『町田くんの世界』が6月7日に公開された。『舟を編む』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』の石井裕也監督最新作となる本作…ドラマでは、2021年に『ドラゴン桜』第2シーズンで発達障害を抱えながらも、主人公の桜木(阿部寛)に類まれな記憶力を見出され、東大を目指す昆虫好きの青年・健太を快演。その高い演技力と役作りのために短期間で10キロ以上も増量し、髪を丸刈りにするというストイックなエピソードでも話題を呼び、ネクストブレイク俳優として注目される。翌年には、『もしも、イケメンだけの高校があったら』(テレビ朝日系)でドラマ初主演を飾り、2023年には初のNHK大河ドラマ『どうする家康』にて、21歳の若さで壮絶な死を遂げる徳川家康(松本潤)の嫡男・信康を全身全霊で演じるなど、着実にステップアップを続けてきた。
細田佳央太、『どうする家康』“父”松本潤に感謝 「導いて下さる姿勢に一番感動しました」
毎週日曜日に放送されているNHK大河ドラマ『どうする家康』出演の細田佳央太よりコメントが寄せられた。 本作は、ひとりの弱き少…細田を見ていると、いつも「少年漫画の主人公のようだなあ」と感じる。素朴な印象ながら途轍もない吸引力があり、画面に映っていると目が離せなくなるのだ。それは、主役であっても、脇役であっても変わらない。
『あの子の子ども』は高校生カップルの福(桜田ひより)と宝(細田佳央太)が予期せぬ妊娠に戸惑いながらも、懸命に命と向き合い、自分たちなりの未来を選びとろうとする物語で、そのまま性教育の教材になりそうな良作だった。特に、視聴者を感心させたのは宝の行動。子供は一人では作れないとはいえ、身体的な変化がないため、大人であっても当事者意識を持てない男性もいる中で、宝は自ら主体となって、あらゆる選択肢を模索する。
一方で、あまりにも理想的で、ともすればファンタジーになりそうなところに歯止めをかけていたのが細田の演技だ。町田くんや宝をはじめ、真面目で優しく、一見すると成熟した若者を演じることが多い細田。しかし、どの役も何らかの“葛藤“を抱えており、宝も福のことを大切に思う気持ちと、自分自身の夢に対する未練や、女手一つで育ててくれた母親の想いとの狭間で絶えず苦しんでいた。そういうリアルな感情の揺れ動きを繊細に伝える細田の演技が作品と視聴者の距離を近づけてくれる。
『Shrink-精神科医ヨワイ-』は、新宿の片隅で小さなクリニックを営む精神科医の弱井(中村倫也)がさまざまな心の病を抱える人々と向き合うヒューマンドラマ。細田がゲスト出演した第3話(最終話)は境界性パーソナリティ症を抱える風花(白石聖)がメインでありながら、同時に細田演じる風花の彼氏・温田の回でもあった。
温田は、見捨てられ不安が強く、試し行動に出やすい風花に浮気されても文句一つ言わない深い懐の持ち主。しかし、その実、風花を献身的に支える自分に存在価値を感じており、彼女が弱井と出会って回復に向かっていくことに焦りを覚え、心のバランスを崩していく姿に胸が締め付けられた人も多いのではないか。最終的に二人はお互いのため、別々の道を歩むことに。地元に戻ることになった温田は「ねぇ、風花も来ない?」と誘うが、細田が見せた寂しそうな笑顔から、彼が風花の“答え”を心のどこかで分かっていたことが伝わってきて、その幸せを願わずにはいられなかった。























