『御上先生』“御上”松坂桃李の衝撃の過去が明らかに 教育改革への視点も

東雲の家族の話は、本作のテーマ「Personal is political.」に通じる。受験を控えた生徒たちは、取りすました表情で勉強に打ち込みながら、裏では様々な葛藤を抱えている。帰国子女の倉吉が言う「本音と建て前」ではないけれど、整った外面の裏側ですさんでいたりして、内心の動揺を隠していることがふとした瞬間に垣間見えた。押し殺していた本音が御上の登場を機に表面化する、教室全体と個々の相互作用は本作の見どころである。
今作がはらむ権力構造が顕在化したのが第3話だった。冴島(常盤貴子)から話を聞き出そうとする神崎の動きを察知したのは文科省。塚田(及川光博)の意図を汲んだ槙野(岡田将生)が記者である神崎の父(東根作寿英)と水面下で接触し、雑誌報道をちらつかせて断念させたと思われる。「新聞記者ごっこ」と言って神崎を見下す父親は、大人の論理を押し付けていないか。権力側に立つ槙野も心配だ。アナログであるが故にブラックボックスな霞が関と永田町の論理を前に、自転車用ヘルメットはどれくらい役に立つだろうか。
第3話最大の衝撃は、22年前に放送室で自死し、世間に衝撃を与えた学生が御上の実の兄だったことである。次元(窪塚愛流)の自宅で見せられた画像を、神崎は御上に突き付けた。はたして御上が隣徳に来た狙いは何なのか? 隣徳が学校法人化したのは、ちょうど事件の直後と重なる。御上は次に狙われるのは神崎と予想して、生徒を守ろうとしている。御上の動きには不審な点も多い。通話相手は外部の人間だとして、タイミングを見計らったように届くファックスは御上が送らせているのではなど疑惑は尽きない。怪文書そのものの文面は様々な解釈ができそうで、考察班として腕の見せどころである。
「日本の教育を変えてやろう」という熱意を持ったエリート文科省官僚が高校教師となり、令和の18歳とともに、日本教育にはびこる権力争いや思惑へ立ち向かうオリジナル学園ドラマ。
■放送情報
日曜劇場『御上先生』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:松坂桃李、奥平大兼、蒔田彩珠、窪塚愛流、吉柳咲良、豊田裕大、上坂樹里、髙石あかり、八村倫太郎、山下幸輝、夏生大湖、影山優佳、永瀬莉子、森愁斗、安斉星来、矢吹奈子、今井柊斗、真弓孟之、西本まりん、花岡すみれ、野内まる、山田健人、渡辺色、青山凌大、藤本一輝、唐木俊輔、大塚萌香、鈴川紗由、芹澤雛梨、白倉碧空、吉岡里帆、迫田孝也、臼田あさ美、櫻井海音、林泰文、及川光博、常盤貴子、北村一輝
脚本:詩森ろば
脚本協力:畠山隼一、岡田真理
演出:宮崎陽平、嶋田広野、小牧桜
プロデュース :飯田和孝、中西真央、中澤美波
教育監修:西岡壱誠
学校教育監修:工藤勇一
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/mikami_sensei_tbs/
























