『御上先生』“御上”松坂桃李の衝撃の過去が明らかに 教育改革への視点も

『御上先生』(TBS系)第3話では、隣徳学院をめぐって謎が深まり、御上(松坂桃李)の背景が明かされた(※この記事には本編の内容が含まれます)。
収監中の弓弦(堀田真由)を訪ねた御上は語る。自爆テロは弓弦にとって革命を意味したが、それでも「社会とやらは1ミリも変わらない」。それどころか弓弦を慕うファンクラブができ、「浅はかで思慮の足りない社会」と嘆いてみせる。さらに「なんでたった1人、人を殺したくらいのことで社会が変わると思った?」とたたみかけた。「僕は君を裁くために来たわけじゃない」と言う御上だが、一方的な口調で弓弦に反論の隙を与えない。それでいて「君の戦いが孤独だったことを、たぶん僕は知っている」と共感を示した。
弓弦には死を希求する意思があった。罪を負って生きながらえる弓弦は、宙ぶらりんの状態だ。弓弦を見て、社会の変革を掲げながら、志なかばで挫折した若者たちを連想した。彼らのほとんどは社会を構成する歯車になったが、道を外れた者もいた。弓弦はどうだろうか。御上が弓弦の更正を願っているとして、そのためには多くの言葉が二人の間に必要だろう。
第3話は、御上から3年2組の生徒への語りかけが前2話ほど見られなかった。代わりに生徒からの発信が見られた。姿を見せなかった神崎(奥平大兼)への戸惑いと反発が、倉吉(影山優佳)の発言につながった。離れて暮らす東雲(上坂樹里)の父親が搬送され、一緒にいた富永(蒔田彩珠)が知らせて、御上と是枝(吉岡里帆)も病院に駆けつけた。翌日のホームルームで進み出た東雲は中学教師だった父について語る。
東雲の父は自作の教材を授業で使用していたが、学習指導要領に違反するとして学校を辞めた。内容面で問題のない教材を禁止されたのは、義務教育であることや教科書検定など複数の原因があった。東雲は制度の不合理さを訴えるが、教科書が原因で家がめちゃくちゃになったことをわかってもらいたかったのだろう。父親が倒れたことをきっかけに、言えなかったことを口にできた。前夜に病院で御上と並んで座っていた時、ひそかに話すことを決心したのかもしれない。御上は肯定も否定もしない代わりに「考えて」と一言。是枝の寄り添い方にじんと来た。