『日本一の最低男』はひとつの答えを明示しない 一平が“最低”だからこその“優しい”世界に

『日本一の最低男』が“優しい”世界な理由

 ひまり(増田梨沙)が学校を休みがちになっているという話を聞き、「学校の楽しさを教えてやる」と立ち上がる一平(香取慎吾)。しかし正助(志尊淳)は「もう学校に行かなくちゃいけない時代じゃない。行かない選択肢だってあっていい」と一平を止める。そう言いながらも、ひまりが学校に行けるようになったらと考えてしまう正助の親心もまたよくわかる。

 1月23日に放送された『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系)の第3話は、“不登校”というテーマを描いていく。

 劇中でも真壁(安田顕)の言葉で簡潔に触れられていたように、文部科学省の調査によれば、令和5年度の全国の小中学校における不登校の児童・生徒数は34万6482人。調査が始まってから初めて30万人を超え、5年前の調査と比較すると倍以上も増加している。

 おそらく“不登校”と聞くと、まったく学校に行かない子というイメージが持たれがちだが、実際のところ出席日数が0日の児童・生徒は1万人強しかおらず、45%は欠席日数が90日未満。理由は個々によってさまざまではあるが、それだけ多くの子どもたちが葛藤し、戦っているということなのかもしれない。

 さて、一平は例によって選挙を優位に運ぶという身勝手な目的のために、ひまりの不登校を利用してPTAの保護者たちの心をつかもうと画策する。正助の代わりにPTAに参加し、不登校時の保護者で悩みを共有する会を開こうと提案したり、専門家に話を聞きに行ったり、不登校児とその保護者が参加するキャンプを開いてみたり。

 一方で正助は、ひまりの担任からの助言に従って学校に付き添うものの、そのために仕事を休まなければならなくなり、かつ手応えがあまりないことで余計に悩んでしまう。

 今回は一平の柔軟さというか、少々楽観的にも見える適当さのようなもの――いわば彼を“最低男”としている部分――が存分にプラスに働いているように見える。ひまりを応援したいという思いの強さから空回りしてしまう正助に“少し距離を置くこと”を提案し、キャンプにひまりを誘うことでそれを実行。結果的に正助とひまりに本音で話し合うきっかけを作るし、ひまりと一平の距離感もほんの少しだけ縮まる。さらに保護者たちの信頼も得るなど、誰も踏み台にされることなくすべてが良い方向へと進んでいる。

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