奈緒&松田龍平の背中合わせショットに魅せられる バディ感が強まる『東京サラダボウル』

第1話で「自分の目で見たこと以外信じたくない」と言っていた鴻田だが、彼女は自分が見ていないこと、経験していないことにも想像を及ばせられる人間だ。だから、帰国子女ゆえに2カ国語を話せて当然と思われてきた有木野の苦労と努力にも目を向けられる。日本と中国との架け橋となり、人の声を届ける有木野と、その声に耳を傾け、寄り添う鴻田。バディ感の強まりを感じる2人の背中合わせのショットに魅せられた。シェン(許莉廷)が「人の心が分かる人」と語った彼らの纏う空気は常に温かい。

さて、肝心の誘拐事件だが、捜査は難航していた。そんな中、幸次にギャンブル癖があり、複数の消費者金融から総額250万円を借り入れしていることが判明。その返済のため、幸次はユキが働いていたラウンジのホステス・アリサ(Razel Ichimiya)を通じて自身の戸籍を売っていたのだ。
一方、鴻田はドラッグストアでの万引き犯逮捕に向けて潜入捜査中、ワンジェンビン(張翰)という在日中国人の男性と出会う。赤ちゃんを育てていると見られるワンの紙おむつ選びをさながら店員のように助ける鴻田。ワンは人の良さそうな父親に見えたが、そのアパートの部屋には中国人女性と、有木野たちが行方を追う俊の姿があった。なぜ、ワンは俊を誘拐したのか。誘拐と戸籍売買に関連性はあるのか。真相は次回に持ち越しとなる。

「人も食文化も国の境を行ったり来たりしてきたんだよね。辿り着いた場所で生まれ変わったりしながら」
そう言いながら、鴻田が頬張っていたバインミーはベトナムがフランスの植民地だった時代に生まれた食べ物。フランスパンよりもサクサクとした食感のバケットに、味付けされた豚肉や、人参と大根のますなどが挟まれている。中国をはじめ、色んな国から人が集まってくる日本も今、変化を求められている時期だ。戸惑うこともあるかもしれない。けれど、多文化を受け入れ、共存し、時に混ざり合って、バインミーのように豊かな味わいのある国になっていくことを願っている。
■放送情報
ドラマ10『東京サラダボウル』(全9回)
NHK総合にて、毎週火曜22:00〜22:45放送
NHK BSP4Kにて、毎週火曜18:15〜19:00放送
再放送:NHK総合にて、毎週木曜24:35〜25:20放送
出演:奈緒、松田龍平、中村蒼、武田玲奈、中川大輔、絃瀬聡一、ノムラフッソ、関口メンディー、朝井大智、張翰、許莉廷、喬湲媛、Nguyen Truong Khang、阿部進之介、平原テツ、イモトアヤコ、皆川猿時、三上博史
原作:黒丸『東京サラダボウルー国際捜査事件簿―』
脚本:金沢知樹
音楽:王舟
メインテーマ曲:Balming Tiger
メインビジュアル・デザイン:大島依提亜
メインビジュアル・スチール撮影:垂水佳菜
演出:津田温子(NHKエンタープライズ)、川井隼人、水元泰嗣
制作統括:家冨未央(NHKエンタープライズ)、磯智明(NHK)
プロデューサー:中川聡子
写真提供=NHK






















