『るろうに剣心』京都編、第一期からの変更点とは? 監督&Pが語る“今の剣心”だからの表現

『るろうに剣心』京都編を監督&Pに聞く

 和月伸宏のマンガを原作にしたテレビアニメ『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』第二期にあたる「京都動乱」が、10月よりスタートした。京都を舞台にしたこのエピソードは原作でも人気が高く、主人公・緋村剣心が東京の神谷道場を離れ、京都で明治政府転覆を目論む志々雄真実一派と対峙する苦難の道を歩むさまを描く。

 国内外でも高い人気を誇る原作の「京都編」。そのエピソードを監督することになったのは、『ビルディバイド』シリーズで知られる駒田由貴。第一期の山本秀世監督からバトンを受け継ぎ、どのように本作を作るのか。その意気込みとこだわりを、プロデューサーの丹羽将己とともに話を聞いた。

『るろうに剣心』の魅力のひとつはキャラクターたちの“信念”

ーー駒田監督は『るろうに剣心』監督のオファーをもらってどうお感じになりましたか?

駒田由貴(以下、駒田):子どもの頃から読んでいる作品でしたからプレッシャーは大きかったですが、好きだからこそチャレンジしてみたいと思いました。元々、別の企画の監督をしていて、それなりに準備も進んでいたのですが、一時的にそちらの企画が止まってしまった所でお話を頂きまして……偶然も重なったオファーでした。その企画も実はまだあきらめていないのですが、今は『るろ剣』の方に全面的に取り組んでいます。

ーー第一期の山本監督から引き継ぐうえで、違いを作っていこうと意識していることはありますか?

駒田:「全く違うものにしていこう」という意識はしませんでした。キャラクターデザインや色味など、基本的な所はすでに決まってしまっていて、大きな変更は現場の混乱にもつながるのでしないようにしています。ただ、どうしても演出する人間が変われば違いは出てくるのか、最近、作画スタッフの方に「映像のテンポが変わったんじゃないか」と言われました。その辺りのテンポ感は自分にもこだわりがあったので、きちんと画面に表れているのかなと嬉しかったです。声だけでなく効果音の入るタイミングなどをとても意識してコンテを描いています。むしろ、1996年版のTVアニメとの違いを少し意識しているかもしれません。子どものころテレビで観ていたのでそちらの良さもよくわかっていて、中々越えられない部分もあったりはしますが。例えば当時の撮影台では難しかった3Dやデジタル特有の技術を使っています。アクションシーンでも活用する予定ですが、日常芝居でも3Dレイアウトをかなり出してもらっていて。葵屋などは中をちょっと冒険できるくらいにつくりこまれていますね。

 余談ですが、1996年版の監督である古橋一浩さんが偶然ライデンフィルムのスタジオで一時的に作業されていた日があって(汗)……めちゃくちゃ緊張しましたがご挨拶させていただきました(笑)。すごく気さくにお話ししていただけて、ねぎらいのお言葉も頂戴したのでがんばりたいと思いました……!

ーー駒田監督にとって、『るろうに剣心』の魅力とは?

駒田:一言で表すのは難しいですが、キャラクターそれぞれに信念があって、味方に限らず敵であってもそれがしっかりとあるということでしょうか。派手なアクションや刀を使ったシーンはもちろんみんな大好きですけど、それだけじゃなく、人情や恋愛ドラマも描かれていますし。今日の取材前に原作を読み直していたのですが、「京都編」だけにしようと思っていたら、止まらなくなって「人誅編」まで読んでしまいました(笑)。私は中学生の頃、剣道部に入部していたのですが、そのきっかけの一つは『るろ剣』だったかもしれません。

ーー丹羽さんとしては駒田監督にお願いした決め手みたいなものはあったんですか?

丹羽:ライデンフィルムのプロデューサーから駒田監督の名前が候補としてあがった時、以前監督された『ビルディバイド』でもチャレンジする印象がすごくあったので、良いなと思いました。監督が交代するなら、その持ち味が出た方がいいと思いますし、『るろうに剣心』にもチャレンジ精神を持って臨んでいただけると期待もしています。僕も駒田監督と同世代なので、なんとなく見てきたものも共通しているし、これからもっと上を目指そうという野心のようなものもある年代だと思っています。

駒田:特別野心みたいなことは意識してはいませんけど、やるからには良いものをつくりたいので、そういう気持ちで演出しています。

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