『ライオンの隠れ家』は思わぬ景色を視聴者に届ける ヒューマン&サスペンスの見事な両立
第4話を観ていて分かったことがある。彼らの優しさは、彼らを愛した人たちの思い出や、かけられた言葉によって形づくられている。母・愛生が亡くなったと思い悲しむライオンに対し、かつて自分が両親を失った時のことを思いだし、その痛みを想像し、懸命に寄り添おうとする美路人。彼は、ライオンの誕生日会をしようと試みる。「お誕生日は幸せな日です」「今日はライオンが主役だから」とライオンに優しく語り掛ける美路人と洸人の言葉は、かつて彼らの母と父が、ライオンの母であり兄弟の姉である愛生に対して言った言葉でもある。
第1・2話において、Xに指定された場所に向かう洸人のエピソードは、忘れかけていた姉・愛生(宮﨑優)との思い出を辿る作業であるとともに、愛生と暮らしたつかの間の日々が彼の人生に確かな影響を及ぼしていることを証明するものでもあった。ライオンもまた、「ルーチーン」やふとした仕草に、かつての愛生の姿を洸人が重ねずにはいられないほどには、今、彼の傍にはいない母を自分の内面に宿らせている。そんな幾重にも積み重なった誰かの優しさで構成されたかのような本作は、光が射した小森家の中に佇む登場人物たちの姿が印象的なオープニング映像のように、温かな光に満ちている。
かつて愛生は鳥を見て「自由でええなあ」と呟いた。「海猫だって違う景色見たい時、あります」という第1話序盤の美路人の言葉に対応するように、第1話終盤は「何が正解なのかはわからない。だけど、僕は違う景色を見てみることにした」という洸人の独白で締めくくられている。彼ら兄弟とライオンとの日々は、これからどんな思わぬ景色を視聴者に見せてくれるのだろうか。
■放送情報
金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:柳楽優弥、坂東龍汰、齋藤飛鳥、佐藤大空(子役)、柿澤勇人 、入山法子、岡崎体育、尾崎匠海(INI)、平井まさあき(男性ブランコ)、森優作、桜井ユキ、岡山天音、でんでん、向井理、尾野真千子
脚本:徳尾浩司、一戸慶乃
主題歌:Vaundy「風神」(SDR/Sony Music Labels Inc.)
演出:坪井敏雄ほか
編成プロデュース:松本友香
プロデュース:佐藤敦司
編成:吉藤芽衣、中野翔貴
製作:TBSスパークル
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/lionnokakurega_tbs/
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