趣里の魅力は“存在感”にあり 『ブギウギ』も『モンスター』も“ハマり役”だと思わせる力量

趣里の魅力は“存在感”にあり

 趣里主演ドラマ『モンスター』(カンテレ・フジテレビ系)が、とにかく面白い。本作は、新人弁護士・神波亮子(趣里)が、令和ならではのさまざまな問題と向き合い、まるでゲームのように法廷闘争に立ち向かう異色のリーガル・エンターテインメント。亮子は、型破りな“モンスター”と称されていることもあり、「勝つことしか眼中にないタイプの弁護士なのかな?」と思っていたのだが、第2話までを観るかぎり、かなり人間味がある。あまり表情を動かさないため、何を考えているのか分からない部分はあるが、依頼者の気持ちに寄り添い、正義を貫くタイプなのは間違いないだろう。

 亮子を演じている趣里は、ヒロインを務めたNHK連続テレビ小説『ブギウギ』以降、本作が初の連続ドラマ主演となる。『ブギウギ』で演じていたスズ子は、コテコテの関西弁で明るい笑顔とチャーミングな性格が印象的なキャラクターだった。あっけらかんとしていて、表情がコロコロと変わる。まさに、『モンスター』で演じている亮子とは正反対に位置する役柄と言えるだろう。しかし、どちらのキャラクターも“ハマり役”だと思わせることができるのは、趣里の力量あってこそ。

 口数が少なく、あまり表情を変えることがない亮子は、無機質な人間に見えてしまう可能性もあったはずだ。しかし、趣里は亮子のなかに愛らしさのようなものを宿している。異質な感じはきちんと残しつつも、キュッと口角を上げる仕草などで、視聴者に親近感を抱かせることに成功しているのだ。実際に、SNS上でも「このドラマの趣里いつも以上にかわいい」「趣里がめっちゃキュート」などの声が上がっていた。

 筆者は、趣里の役者としてのいちばんの魅力は“存在感”にあると思う。主演を務めているときはもちろんだが、映画『勝手にふるえてろ』(2017年)で演じた金髪店員役など、たとえ脇役だとしても、観た者の印象に残る演技を見せるのが、趣里という役者なのだ。個人的には、ドラマ『レッドアイズ 監視捜査班』(日本テレビ系)で演じていた情報分析官・長篠文香のようなクールに全振りした知的なキャラクターを演じている姿も、また観てみたい気がする。

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