『モンスター』“モンスター弁護士”趣里の底知れなさ ジェシーとのコンビのギャップに注目
型破りなのは事件か、それとも弁護士か。10月14日にスタートした『モンスター』(カンテレ・フジテレビ系)第1話は、無罪判決にとどまらない弁護士の活躍を描いた。
弁護士の神波亮子(趣里)は10代で司法試験に合格。その後、約10年が経過するが、あることをきっかけに法律事務所の門を叩く。第1話で扱われたのは自殺教唆事件。自殺未遂の過去がある川野紗江(藤吉夏鈴)に、交際相手の塩屋遼(萩原利久)が「死ね」とメッセージを送って自殺に追いやったというもの。自らが手を挙げて受任した事件で、亮子は紗江の勤務先に潜入する。
手ぶら、パーカー姿、ポケットから取り出したのは弁護士バッジ。品位が重んじられるイメージと対極的なカジュアルな空気を亮子はまとっている。法廷では巧みな尋問で、検察を相手に堂々と裁判を進める。きわめつけは清掃のバイトに扮し(ちゃんとアルバイトの面接は受けている)、ハラスメントの証拠を集めた。
その他にも劇中でいろいろやらかした亮子は、たしかに「型破り」である。ただ、そんな型にはまった形容詞でくくれない正体不明の底知れなさが、趣里演じる本作の主人公には漂っている。亮子とコンビを組むのが、若手弁護士の杉浦義弘(ジェシー)だ。入所順で先輩の杉浦は常識外れの言動を繰り返す亮子に助言したり、ときに注意するが、亮子は制止を無視し、あげくのはてにメールで指示や命令を出して杉浦を唖然とさせる。亮子の特異さは杉浦との対比で際立つことから、杉浦は本作の視点人物といえる。第1話で亮子の仕事の進め方に戸惑い、翻弄された杉浦だが、凹凸コンビのギャップが緩急をつけて表現されていた。
亮子の潜入捜査はあっけなくバレたが、社員の証言から社内でハラスメントが横行していたこと、残業が常態化し、社員は定時後にカフェで仕事をしていたことが発覚する。さらに紗江の裏アカが見つかったことで、会社の劣悪な勤務実態も明らかになり、紗江はその犠牲になっていたことがわかる。ハラスメントの標的になった紗江は家に帰ることもできず、さらに遼の言葉が追い打ちをかけた。最後の一押しになったのは意外な人物だった。