奈緒は現代を生きる“わたしたちの鏡”となる 『傲慢と善良』『あのクズ』でみせる全力の姿

奈緒は現代を生きる“わたしたちの鏡”となる

 真実を演じた奈緒はこれまで、様々な「わたしたち」を演じてきた。『君は永遠にそいつらより若い』のイノギや、『マイ・ブロークン・マリコ』のマリコの儚くも鮮烈な存在感は、観客の心から永遠に消えない。『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)のみちは、本作の真実同様、葛藤の末、ちゃんと自分の足で歩くことの大切さを教えてくれた。

奈緒が役者を続けられる理由とは? 『あのクズ』主人公・ほこ美と重なる“しつこさ”

数々の名作ドラマが生まれてきたTBS火曜ドラマ枠では、等身大の主人公が恋に仕事に奮闘する姿が描かれてきた。10月8日スタートの新…

 そして、現在放送中の『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系)の佐藤ほこ美。海里(玉森裕太)に「羨ましいですよ、あんなに馬鹿になれて。素直に笑ったり怒ったり泣いたり」と言われるように、彼女は、喜怒哀楽すべての感情を身体中から発散させる。坂庭真実とは対極にあるその役もまた、奈緒以外にはできない役柄と言える。嫌なことがあると1人月を眺めてやり過ごしてきた、強いけれど、切ない背中。怒りを原動力にボクシングで人生を動かしていく姿は、安藤サクラが演じた『百円の恋』の主人公・一子を思い起こさせたりもする。

 奈緒が演じる女性たちは、時に儚げに、時にパワフルに、全身で生きている。だから、そんな彼女たちの生き様を通して、観客、あるいは視聴者は、自分自身を顧みずにはいられないのである。

■公開情報
『傲慢と善良』
全国公開中
出演:藤ヶ谷太輔、奈緒、倉悠貴、桜庭ななみ、阿南健治、宮崎美子、西田尚美、前田美波里
原作:辻村深月『傲慢と善良』(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
監督:萩原健太郎
脚本:清水友佳子
音楽:加藤久貴
主題歌:なとり「糸電話」(Sony Music Records)
製作幹事:エイベックス・ピクチャーズ
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
配給:アスミック・エース
©2024「傲慢と善良」製作委員会
公式サイト:https://gomantozenryo.asmik-ace.co.jp
公式X(旧Twitter):@goman_zenryo(https://twitter.com/goman_zenryo)
公式Instagram:@goman_zenryo(https://www.instagram.com/goman_zenryo/

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