『ライオンの隠れ家』岡山天音登場で漂う“黒沢清映画”の匂い 背筋がぞくりとするラストに

『ライオンの隠れ家』に漂う黒沢清映画の匂い

 愛生の姿を探す洸人を見下ろし、その姿を追いかけてきた洸人とエスカレーターで入れ違いになる。さらにショッピングモールから堤防に来るよう指示を出し、その場には現れない代わりに、立ち去ろうとする洸人と牧村の乗った車を尾行。そしてしまいには、ひとりになった牧村に接近するのである。ちょうど最近、黒沢清の『Cloud クラウド』に出演していた岡山だけに、今回彼が登場するシーンだけはどこか黒沢清的な不穏さと、第1話で抱いたイメージをガラリと覆すような異物としてそこにあり続ける。考えてみれば、美路人がバスで乗る定位置の席も、同作の序盤の不気味なシーンと重なるではないか。

 それはさておき、この謎の男といい、ライオンがずっと大事に抱えているライオンのぬいぐるみにGPSと盗聴器が仕掛けられてることといい、急激に作品のテイストが変わりつつあるようだ(もともと“ヒューマンサスペンス”と銘打っている以上、こうしたミステリアス路線を意図していたのかもしれないが)。

 極めつきは、テレビのニュースを通して洸人と山梨パートがつながる終盤。愛生と同じ名前の女性とその息子が行方不明になっていると伝えられ、そこで知った“愁人”という名前で呼びかけると返事をするライオン。一瞬で、2人の間の時が止まる。このラストには、妙に背筋がぞくりとしてしまう。

■放送情報
金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:柳楽優弥、坂東龍汰、齋藤飛鳥、佐藤大空(子役)、柿澤勇人 、入山法子、岡崎体育、尾崎匠海(INI)、平井まさあき(男性ブランコ)、森優作、桜井ユキ、岡山天音、でんでん、向井理、尾野真千子
脚本:徳尾浩司、一戸慶乃
主題歌:Vaundy「風神」(SDR/Sony Music Labels Inc.)
演出:坪井敏雄ほか
編成プロデュース:松本友香
プロデュース:佐藤敦司
編成:吉藤芽衣、中野翔貴
製作:TBSスパークル
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/lionnokakurega_tbs/
公式X(Twitter):@kakurega_tbs
公式Instagram:lionnokakurega_tbs

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