白石麻衣が語る、芝居の引き出しが増えた実感 “コメディ”を通して見つけた新たな自分
近年、コメディ作品に積極的に参加し、俳優としての新たな一面を見せ続けている白石麻衣。そんな白石が出演するフジテレビ系火9ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』の放送が10月8日よりスタートする。本作は、実質“お蔵入り”してしまった未解決事件を追う部署、通称“オクラ”に属する刑事たちが難事件に挑む姿を、昭和と令和のジェネレーションギャップバディを中心に描くヒューマンミステリーエンターテインメントだ。
白石が演じるのは、“元ヤン”の女性刑事・結城倫子。「自分と似ている部分もある」と話す白石は、『オクラ』でどんな新たな一面を見せてくれるのか。撮影の裏話をはじめ、コメディとシリアスにおける芝居の違い、笑いを演出する難しさについて語ってもらった。
「『教場』の時とはまた違った、『オクラ』色があります」
ーー本作のオファーを受けた際の率直な感想を教えてください。
白石麻衣(以下、白石):素直に嬉しかったです。『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)や『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)を観ていましたし、昔からの大スターである反町(隆史)さんと共演できるというのは感動しました。自分にとっても、俳優として成長できるいい経験になる機会かなと思っていたので、撮影がすごく楽しみでした。
ーー実際に反町さんと共演してみてどうでしたか?
白石:最初はすごく緊張しました。倫子としてどう絡みにいこうか迷っていましたが、反町さんが「倫子のクールな部分がカッコいいよね」と言ってくださったのが嬉しかったです。反町さんは本当にいろんな方と積極的にコミュニケーションを取っていて、誰にでもフランクに話してくださるので、楽しみながら撮影ができています。
ーー反町さんをはじめ、俳優の先輩たちとの掛け合いを通して学んだことはありますか?
白石:本当にみんな個性的なキャラクターを魅力的に演じているのがすごくて。特に宇梶(剛士)さん演じる鷲沢も、台本では「寝てるだけ」となっている部分でもひと笑いを起こしてくれるような演技をされていたりするので、勉強になります。鷲沢はセリフが少ないからこそ、物語における大事なキャラクターになってくると思うので、ぜひ注目してほしいですね。
ーー2度目の共演となる橋本じゅんさんについては?
白石:橋本さんは、前からお芝居についてもフランクにお話ししてくれます。今回もわからないことがあったら、橋本さんにいろいろ相談してみようと思います(笑)。
ーー撮影の合間の雰囲気についても教えてください。
白石:反町さんが杉野(遥亮)さんのことをいじっている現場をよく見かけます(笑)。皆さん和気あいあいと撮影しています。
ーーどういうやり取りがされているか気になります。
白石:杉野さんはバナナが好きらしくて、反町さんが「こいつはバナナしか食べないからな〜」みたいな感じです(笑)。現場では杉野さんがいじられキャラですね。私は反町さんが杉野さんをいじっているのを、第三者の目線でニコニコ見守っています。
ーー作中では、白石さんが杉野さんに対して強く当たっているシーンもありますが、撮影裏ではどんな話を?
白石:倫子は結構手が出てしまう場面があって、頭を叩いたり、強く押したりみたいなことが何回か撮影であったので、その都度細かく打ち合わせていました。
ーー結構強めにいくんですか?
白石:そうですね。監督にも「音が足りない」と言われたり……(笑)。でも、人を叩くことがないので加減がわからなくて。本番は一発勝負という気持ちで臨みましたが、結構いい音になったので安心しました。
ーー“ヤンキーっぽさ”をリサーチしていたとお聞きしましたが、役に立っていますか?
白石:意外とヤンキーっぽくなくて(笑)。クランクインしてみて感じた倫子のキャラクターは、仕事にまっすぐですし、元ヤンだけど、その色があんまり出すぎていないというイメージです。でも、利己(杉野遥亮)に対しては、「しっかりしなさいよ!」的な感覚で、倫子なりの喝を入れる感じもあって。いいバランスで今撮影しています。
ーー口調についてはどう感じましたか?
白石:口調は結構強めですね。普段言わない言葉だったりするので、そのあたりに元ヤン色が出てるのかなと思います。
ーー倫子を演じるにあたって大事にしているポイントがあれば教えてください。
白石:仕事に向き合う姿勢が一定にならないようには心がけています。やはり先輩である千寿と仕事をしているときの倫子と、後輩の利己と接する時ではやっぱり見せる顔も違うなと思っています。千寿は昔から知っている親戚のおじさんみたいな感覚で、利己は新しく入ってきた若手刑事なので、千寿には何でも話せる相手だけど、利己は空気を読まない性格を鍛え直してあげようというように、それぞれに合わせて気持ちを切り替えています。
ーー『教場』(2023年/フジテレビ系)にも出演されていましたが、『オクラ』のような本格的な刑事ドラマならではだと現場で感じたことはありますか?
白石:『教場』の時とはまた違った、『オクラ』色があります。刑事ドラマでは専門用語を使った長セリフがあり、私も『教場』で体感しましたが、今回は杉野さん演じる利己が一番セリフが多く、改めて大変なポジションだなと。私は刑事ドラマが好きなので、出演作にそういうセリフがあるのはすごく楽しいです。『オクラ』は難しい言葉がたくさん飛び交うので、撮影のたびに私もそれらを調べて、皆さんについていこうという気持ちで取り組んでいます。
ーー倫子に対して共感できる部分も?
白石:倫子は曲がったことが嫌いな、まっすぐ生きている女の子なんですけど、私も結構寄り道をしないタイプなので、自分と似ている部分もあるなと。そういう自分がすでに持っている軸は倫子にも活かせるなとも思いつつ、言葉遣いなどは全く別なので、「強く伝わるように言わないと」と心がけています。