『ビリオン×スクール』強い思いと後悔が乗った奥野壮の演技 裏番組を意識したジブリネタも
ドラマ『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)第8話は涙なしでは観られない物語だ。更生すべきゼロ組生徒も残りわずか。今回は城島(奥野壮)の主役回。なぜ彼は不良になってしまったのか。そして、雪美(大原梓)との過去が明らかになる。
スポーツ推薦で入学した城島は足の怪我を理由に陸上部にいづらくなってしまった。期待のホープとして新聞に取り上げられるほどの実力だっただけに、城島にとっては死を考えるほどの大きな挫折となった。トラックが向かってくる道路に飛び込み死を選ぼうとしていた時、城島に声をかけたのが雪美。困っている人を助けようとするその笑顔と「さすがスポーツマン。力あるね」という一言に、モノクロだった城島の世界に色が戻っていく。そこには恋心があったのは確かだが、それ以上に人生に彩りを与えてくれた命の恩人という感謝の方が城島にとっては大きかったはずだ。
しかし、城島は間違えてしまう。力の使い方を。雪美が校長の娘ということで陰口を叩くクラスメイトを殴打。「さすがスポーツマン。力あるね」という雪美のセリフが皮肉の一言に変わってしまう。城島にとっては書いていた遺書を破るほどに生きる希望を雪美からもらっていたが、雪美は城島と出会い不良になったことで自然と笑顔も少なくなっていった。
加賀美(山田涼介)が開発した空間プロジェクターで、城島と出会う前と出会った後の雪美の表情の平均値を比べた時、それは一目瞭然だ。大切な雪美を守ろうとしていたはずが、自分の暴力で雪美の笑顔を奪ってしまっていたのだから。取り返しのつかないことをしてしまったとぐしゃぐしゃの表情で泣き崩れる城島。代わりに担任として雪美を救うことを誓う加賀美と芹沢(木南晴夏)だが、「離れて見守ることも守ることの一つじゃないかな。あなたの力を必要としている人はたっくさんいるよ。たぶんここにも」と勇気付ける芹沢の声が震えているのは、奥野壮の演技を目の前にして木南晴夏自身が感動してしまっているからだろう。そのくらいに奥野の芝居には、城島の雪美を思う気持ちと後悔が乗っていたのだ。
その後、城島はスポーツ大会の男子リレーでアンカーを担い、見事優勝。バトンを加賀美に渡し、次は雪美をよろしくとお願いする城島だったが、常識の通じない加賀美にいつものごとく芹沢との掛け合い、アドリブ合戦が始まり、今度は奥野の方がつられて素の笑顔を見せている。