坂元裕二×塚原あゆ子の作家性は正反対? だからこそ楽しみな『1ST KISS』でのタッグ

 最後に、今作の隠れた注目ポイントは、配給が東宝で、企画・プロデュースが山田兼司だということだ。

 山田は、坂元が脚本を担当した『怪物』にも企画・プロデュースとして参加しているが、同じ年に劇場公開された怪獣映画『ゴジラ-1.0』にも企画・プロデュースとして関わっている。

 さすがに作風が違いすぎるため、坂元裕二が『ゴジラ』の脚本を書くことはないと思うが、塚原がTBSドラマで積み上げてきた社会派テイストを活かすことができれば『シン・ゴジラ』のような現代社会の闇を抉り出すような新しい『ゴジラ』を監督できるのではないかと期待してしまう。

 すでに塚原は、2023年に公開された映画『わたしの幸せな結婚』でアクション&ファンタジーを成功させている。社会派ヒューマンドラマを多数演出してきた塚原が映画でも実績を積み上げていけば、近い将来『ゴジラ』を監督する可能性もあるのではないかと思う。

 その意味でも本作は、映画監督・塚原あゆ子にとって大きな転機となり得る映画で、彼女の今後を占う上でも重要な作品となることは間違いないだろう。

■公開情報
『1ST KISS ファーストキス』
2025年2月7日(金)全国公開
出演:松たか子、松村北斗
脚本:坂元裕二
監督:塚原あゆ子
企画・プロデュース:山田兼司
制作プロダクション:AOI.pro
配給:東宝
©2025「1ST KISS」製作委員会
公式サイト: https://1stkiss-movie.toho.co.jp/
公式X(旧Twitter): https://x.com/1STKISSmovie

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