『南くんが恋人!?』は令和ラブコメの新たな金字塔に? “男女逆転”の構図がもたらす効果
昭和から平成、そして令和へと、時代を超えて愛され続けてきた『南くんの恋人』が、新たな姿で私たちの元に帰ってくる。テレビ朝日系火曜ドラマ『南くんが恋人!?』が、7月16日より放送開始。本作は、1987年に刊行された内田春菊の漫画『南くんの恋人』とその男女逆転版を原案としたラブコメディだ。
ドラマの舞台は湘南の昭和レトロな商店街。主人公のちよみ(飯沼愛)は、バスケ部に所属する女子高生で、幼なじみの南くんこと南浩之(八木勇征)と恋人同士となる。しかし、ある日突然南くんが15cmの手のひらサイズに縮んでしまうところから物語が展開する。
作品はこれまでに4度ドラマ化されており、1990年に石田ひかり&工藤正貴、1994年に高橋由美子&武田真治、2004年に深田恭子&二宮和也、2015年に中川大志&山本舞香がそれぞれ主演を務めた。各時代を代表する若手俳優たちが演じてきたこの物語は、まさに日本のラブコメディの金字塔と言えるだろう。
今回のドラマの原作となる漫画『南くんは恋人』は、『南くんの恋人』の発表から26年後の2013年に刊行され、男女の立場を逆にした物語が展開されている。前作ではちよみが小さくなっていたものの、『南くんは恋人』では、南くんが制服のブレザーのポケットに入るほど小さくなり、世間では失踪したことになっているという設定になっているのだ。
そのため、ドラマ『南くんが恋人!?』の注目ポイントは、原作の持つ魅力や面白さを保ちつつ、この“男女逆転”を活かして現代の視点でどのように物語が再構築されるかという点にある。単なる目新しさだけでなく、現代社会におけるジェンダーの在り方や価値観を反映させる意図があるとも捉えられるのではないか。
『南くんの恋人』では、小さくなったちよみの世話を南くんが焼くという構図だったが、今回外の世界を知っているのは女性であるちよみだ。この「面倒を見る・見てもらう」立場が逆転することに、見方によっては、単なる表面的な設定変更以上の意味を感じ取ることもできるだろう(とはいえ、放送前の現段階ではどこまでこうした描写を掘り下げるのかは定かではないが)。