“井戸端会議”がまるで『グータンヌーボ2』? 松岡茉優主演『ギークス』のユーモアと中毒性

『ギークス』のユーモアと中毒性

 1週間の疲労が確実に蓄積する木曜の夜。そんな時間帯に、ヒロインたちの独特な感情が癒やしを提供しているのが、木曜劇場『ギークス~警察署の変人たち~』(フジテレビ系)だ。松岡茉優演じる主人公・西条は、無駄な労力を徹底的に嫌う効率主義者。彼女は仕事をテキパキとこなしたら即座に帰宅し、お気に入りの店ですら店員と顔見知りになることを望まないという徹底ぶりを見せる。定時退社を絶対の掟とする、彼女の“エネルギー節約型”ライフスタイルは、忙しさに追われる現代人の心に強く響き、一種の中毒性を帯びている。

 第2話で、西条たち小鳥遊署の面々を悩ませるのは、突き落とし事件と不可解に絡み合う一体のクマのぬいぐるみだ。犯人が被害者を階段から突き落とし、自転車で逃走する事件の捜査が進行する一方で、このぬいぐるみを巡る奇妙な騒動が署内で展開していく。

 ある金曜日。西条唯(松岡茉優)は保管倉庫で証拠物件の整理をしていた。キレイに整備された棚を見てテンションが上がる西条の目に留まったのは、出所不明のクマのぬいぐるみ。棚に収まらないのが気に入らない西条はクマを処分しようとするが、杉田翔(泉澤祐希)は署のホームページに掲載して遺失物として情報を集めることに。西条は渋々同意したものの、このクマが後に大騒動を引き起こすとは夢にも思わなかっただろう。

 その夜、いつもの居酒屋で西条と吉良ます美(田中みな実)、基山伊織(滝沢カレン)が飲んでいる。西条は、隣に住むイケメン・安達順平(白洲迅)からデートに誘われたことを話す。なんとか断ろうとした西条だが、食い下がる安達に根負けし、食事をする約束をしてしまったのだった。同僚たちは西条の恋愛模様に興味津々だが、彼女自身はさほど興味のなさそうな表情を浮かべている。

 そして週末を挟んで月曜日、事件は突如動き出す。小鳥遊署に、クマのぬいぐるみの持ち主だという人物が2人も現れたのである。

 1人目は老婦人・小湊百合子(梅沢昌代)。彼女の主張によると、50年前に初恋の人と別れる際、「これを自分だと思って大切にしてほしい」と言われ、このクマをプレゼントされたという。2人目はチャラそうな若者・若林良太(濱尾ノリタカ)。彼の話では、アルバイト先で落ち込んでいた時に、ある恩人がこのクマを贈って励ましてくれたとのこと。

 クマを取り合う2人を目の当たりにし、西条は困惑を隠せない。さらに奇妙なのは、2人とも贈り主との大切な思い出があるにもかかわらず、そのクマをいつ失くしたのか覚えていないという点だ。この不可解な状況に、西条たち小鳥遊署の面々は真の持ち主を突き止めるべく奔走することになる。

 突き落とし事件を捜査していた芹沢直樹(中村蒼)は、街中での聞き取りの中で、犯人がクマのぬいぐるみを持っていたという情報を入手する。クマの持ち主が傷害事件の犯人である可能性が浮上し、署内は騒然となった。

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