『義母と娘のブルース』は永遠に生き続ける 5年半を経て迎えた「FINAL」の感動を再び

『義母と娘のブルース』は永遠に生き続ける

 しかし、『義母と娘のブルースFINAL』は、見返してみると奇妙な作品である。冒頭が三途の川から始まるのだから。2018年のドラマシリーズのオープニングは、太陽の眩しい陽射しのショットと、そこから誰かが町を見下ろしているかのような俯瞰ショットに続き、8歳のみゆきが自転車を懸命に漕いでいる姿から始まった。一方、『FINAL』は、カメラが町を勢いよく俯瞰した後、一気に雲の上へと駆け上がる。その先には「俳優の田串浩正(田口浩正)」に話しかけられる船頭の良一(竹野内豊)がいて、次の場面でみゆきが目を覚まし、その俳優の死を知らせるニュースを見ていた。さらには亜希子の前に度々現れるシゲ(木野花)も、終盤本当に霊となるのだが、彼女に出会う場面のたび亜希子が倒れるなど、不穏なことがおこる予兆のようなものを感じさせる存在である。さらにはみゆきが亜希子を末期がんで余命幾ばくもないと信じ込むこともあり、亜希子が結婚式の最中にうたた寝する場面が、ドラマシリーズの良一の最期の光景にどことなく重なること。亜希子自身が三途の川で良一と再会することなどを通して、本作には、随所に「死」を思わせる箇所がある。

 つまりこれは、「亜希子の死」を意味しているのではないか。亜希子の死とはすなわち、『義母と娘のブルース』の終わり、つまりは『義母と娘のブルース』シリーズの「死」を意味している。綾瀬はるかが撮影を終えて「明日から亜希子さんみたいな喋り方ができないのが寂しいです」と言っていたように(特典映像にて)、それは、テレビドラマの世界の中で生き続けていた「宮本亜希子」の終焉なのである。だからみゆきは何度も亜希子に言うのではないか。「死んでも長生きして」と。例えドラマが終わっても生き続けてと。ドラマシリーズ前半で死んだ良一が、時に瓜二つの人物・良治となり、時に成仏しきれない幽霊となり「船頭になって、死んでも働き続けている」ように。それはきっと、亜希子とみゆきの心の中に良一が存在し続けたからであり、亜希子が空を見上げては、良一に語りかけ続けたからだ。ドラマもまた、視聴者の心の中に存在し続けるたび、永遠に生き続ける。そしていつか、2050年以降の彼ら彼女たちに再会できる日を待とう。

■リリース情報
『義母と娘のブルースFINAL 2024年謹賀新年スペシャル』
7月10日(水)Blu-ray&DVD発売

【Blu-ray<初回生産限定:全巻収納BOX付き>】
価格:7,150円(税込)
品番:TCBD-1555
仕様:2024年/日本/カラー/本編112分+特典映像106分/16:9 1080i High Definition/2層/音声:リニアPCM2chステレオ/バリアフリー日本語字幕(本編のみ)/1枚組

<特典映像>
・愛と奇跡のメイキング集 義母と娘のメモリアル
・制作発表会見
・スペシャルインタビュー(綾瀬はるか・佐藤 健・上白石萌歌・井之脇海)
・PR集

<封入特典>
(初回生産限定)
全巻収納BOX(予定)

【DVD<初回生産限定:全巻収納BOX付き>】
価格:6,050円(税込)
品番:TCED-7296
仕様:2024年/日本/カラー/本編112分+特典映像106分/16:9LB/本編DISC:片面2層、特典DISC:片面1層/音声:ドルビーデジタル2.0chステレオ/バリアフリー日本語字幕(本編のみ)/2枚組

<特典映像>
・愛と奇跡のメイキング集 義母と娘のメモリアル
・制作発表会見
・スペシャルインタビュー(綾瀬はるか・佐藤健・上白石萌歌・井之脇海)
・PR集

<封入特典>
(初回生産限定)
全巻収納BOX(予定)

【Blu-ray】
価格:6,380円(税込)
品番:TCBD-1544
仕様:2024年/日本/カラー/本編112分+特典映像106分/16:9 1080i High Definition/2層/音声:リニアPCM2chステレオ/バリアフリー日本語字幕(本編のみ)/1枚組

<特典映像>
・愛と奇跡のメイキング集 義母と娘のメモリアル
・制作発表会見
・スペシャルインタビュー(綾瀬はるか・佐藤 健・上白石萌歌・井之脇海)
・PR集

【DVD】
価格:5,280円(税込)
品番:TCED-7281
仕様:2024年/日本/カラー/本編112分+特典映像106分/16:9LB/本編DISC:片面2層、特典DISC:片面1層/音声:ドルビーデジタル2.0chステレオ/バリアフリー日本語字幕(本編のみ)/2枚組

<特典映像>
・愛と奇跡のメイキング集 義母と娘のメモリアル
・制作発表会見
・スペシャルインタビュー(綾瀬はるか・佐藤 健・上白石萌歌・井之脇海)
・PR集

出演:綾瀬はるか、竹野内豊、佐藤健、上白石萌歌、井之脇海、吉川愛、奥貫薫、真凛、松下由樹、遠山俊也、宇梶剛士、浅利陽介、浅野和之、麻生祐未
原作:桜沢鈴『義母と娘のブルース』(ぶんか社刊)
脚本:森下佳子
主題歌:MISIA「アイノカタチfeat.HIDE(GReeeeN)」(アリオラジャパン)
音楽:髙見優、信澤宣明
プロデュース:中井芳彦、飯田和孝、大形美佑葵
演出:平川雄一朗
製作著作:TBS
発売元:TBS
発売協力:TBSグロウディア
販売元:TCエンタテインメント
©桜沢鈴/ぶんか社 ©TBS

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