『ぎぼむす』涙なしには観られなかった母娘の旅立ち “2050年”の「ただいま」も期待!
「あなたは13年間、24時間365日、私に小さな奇跡を与え続けてくれました。いえ、あなたそのものが私の奇跡でした」
2018年の連続ドラマを経て、2020年、2022年と『謹賀新年スペシャル』として、お茶の間に愛されてきたドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系※以下、『ぎぼむす』)シリーズが、1月2日放送の『義母と娘のブルースFINAL2024年謹賀新年スペシャル』をもって、ついに完結した。
亜希子(綾瀬はるか)とみゆき(上白石萌歌)との13年の日々が描かれた『ぎぼむす』。一方で、私たち視聴者としても彼女たちの出会いから5年半の年月が過ぎた。だからだろうか、すっかりお馴染みとなった面々が揃ったみゆきと大樹(井之脇海)の結婚式は、まるで参列者の1人になったような感覚になったし、それだけ長い時間をかけて亜希子とみゆきの絆を見守ってきたからこそ、みゆきが読み上げる花嫁の手紙ではこみ上げるものがあった。
みゆきと大樹が見せてくれた“大人になる”ということ
子どもはいつから大人になるのだろうか。一般的には成人とされる年齢が決まっているが、その数字に達したからといって誰もが大人になるわけではない。そんな“子どもが大人になっていくとはどういうことなのか”が、今作では描かれたように思う。
大学を卒業するタイミングで一度は就職活動に取り組んだみゆき。亜希子と共に挑む就活対策は大真面目なのにどことなくユーモラスで、「これぞ『ぎぼむす』!」と思わず口角が上がってしまうほど楽しいものだった。きっと亜希子としても、みゆきに社会に飛び出す力を身につけさせることが、ひとつの子育ての集大成だと感じていたのではないだろうか。
だが、幼なじみで恋人の大樹が海外で研究を続けることを知り、みゆきはせっかく獲得した内定を蹴って結婚してついていくことを決意する。もちろん、亜希子も性急すぎる判断だと眉をひそめたが、気づけば亜希子を凌ぐほどの論破力で説得をするみゆきの成長に驚かされるのだった。親を説得できるほど、自分の進む道について強い意思を持つということ。それが大人への第一歩なのかもしれない。
「老いては子に従え」とは、亜希子が偶然であった高齢の女性から言われた言葉。聞けば、彼女はかつて娘が好きな男性と結婚することに反対し、寂しい人生を歩ませてしまったと後悔しているという。その姿は、大樹の母・博美(松下由樹)が歩むかもしれなかった人生のようにも思えた。
強行突破で籍を入れることもできなくはない。でも、それでは今度は大樹が大人になったとは言い切れない。博美がなぜ反対しているのか、親の立場になって考えること。大人になるとは子どもの心配ばかりしていた親を、逆に心配できるくらいの度量を持つことなのではないか。そして、そんな親の弱さや老いを受け止められるようになった先に、親との死別が待っているのだろう。