『降り積もれ孤独な死よ』は隠された関係に光を当てる 成田凌の憂いを帯びた眼差し
「刑事さん、ティッシュペーパーって食べたことあります?」
吉川愛演じる花音は謎めいたオーラをまとっている。育児放棄された花音は灰川と出会い、盗みを教わり、子どもたちと家族のような関係を築いた。花音は謎を知る人物であると同時に、真実を追求する立場でもある。2024年現在では刑事を辞め警備員として働く冴木は、そこから遡ること7年前、花音になかば押し切られる形で行動をともにする。憂いを帯びた冴木の眼差しと、同じ方向を向いているようで微妙に異なる花音の視線が交錯する様子は、無言の会話劇のような生々しい感触があった。
第1話ラストで生存が確認された灰川も印象的なキャラクターだ。瞳の奥に秘密をたたえた小日向文世は不穏な気配を漂わせている。キャスティングが充実していることも本作の見どころだ。冴木の同僚で先輩刑事の明日香に黒木メイサ、上司の川相に野間口徹、後輩の鈴木に佐藤大樹(FANTASTICS from EXILE TRIBE)をそろえ、生き残った子どもたちの成長した姿を萩原利久や松本怜生、杢代和人、栗谷(カカロニ)が演じるなど、個々のキャラクターにも注目だ。
人死にや児童虐待などシリアスな題材を扱う本作だが、あいみょんが歌う主題歌「ざらめ」を聞いたとき、私たちが生きるこちら側の世界に戻ってきたように感じてほっとした。事件の真相を解明する『降り積もれ孤独な死よ』は、最終的に人と人のつながりを解き明かしていくのではないだろうか。ドラマを観る自分自身が、冴木をはじめとする登場キャラクターに対してどんな感情を抱くか、ドキドキしながら見守りたい。
■放送情報
『降り積もれ孤独な死よ』
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:成田凌、吉川愛、萩原利久、佐藤大樹、仲万美、松本怜生、杢代和人、カカロニ栗谷、山下美月、黒木メイサ、野間口徹、小日向文世
原作:『降り積もれ孤独な死よ』原作・井龍一/漫画・伊藤翔太(講談社『マガジンポケット』連載中)
脚本:橋本夏
演出:内藤瑛亮、二宮崇、高杉考宏
チーフプロデューサー:岡本浩一(読売テレビ)
プロデューサー 中山喬詞(読売テレビ)、清家優輝(ファインエンターテイメント)
音楽:Jun Futamata
主題歌:あいみょん「ざらめ」
制作協力:ファインエンターテイメント
制作著作:読売テレビ
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